十月初旬、岬にあるレストランに集まった。桐島も加わり、定番になってきた五人の放課後は見慣れたものだ。
しかし今日の俺は少し憂鬱だった。
つい三時間ほど前、佐伯先生に呼び出された。人使いの荒い先生に『お願いがある』と言われるときは大抵ろくなことがない。
「せっかくなら派手にいきたいよね」
「こういうのって雰囲気が大事だよな」
十月三十一日に開催するハロウィンイベントの実行委員に抜擢され、悪い予感は的中した。
「なんでお前らはそんなに乗り気なんだよ」
メロンソーダを飲みながら、桜井月と熊が楽しそうに話すのを見てため息をつく。
こういうのは女子の方が向いているだろうに、どうして俺が選ばれたのか分からない。
『いつものメンバーでやっていいから』なんて言って、返事する間もなく半ば強引に押し付けてきたけど、パーティーなんて一番嫌いだ。
「ハロウィンの企画なんて楽しそうだもん!」
ノートまで広げて人一倍張り切っている桜井月を見て、今すぐ彼女に譲りたくなった。