「よっしゃあ、どっか遊び行こうぜえ」
「この島で遊ぶ場所ねえ」

 昨日の強風により学校の発電機が壊れたとの放送が流れ、休校になった。

 突然の休日に浮かれる熊が部屋に押しかけてくる。そのまま林太郎を部屋から引っ張り出し、一緒に外へ連れ出されようとしていた。

 キッチンを通り過ぎようとしたら、物陰でがさごそと音がした。

 気になって台所の中を覗くと、地べたにしゃがみこんでこそこそとする背中が見えた。

「マリア?」

 びくっと肩を震わせる彼女は振り返った瞬間、俺たちの顔を見て苦笑いを浮かべる。三人で顔を見合わせ首を傾げた。

「やっぱり最初からやってもらえばよかったかなあ」

 豪快に笑いとばすマリアは、外で割れていた鉢植えの片づけをしている途中、破片の一部でざっくりと手の平を切ってしまったらしい。

 救急箱でなんとか応急処置をしたものの、利き手を怪我してしまったため、貼った絆創膏ももはや意味をなしていなかった。

「それにしても林太郎ってば器用だねえ」

 見兼ねて真っ先に動き出した林太郎は、ガーゼと包帯を使っててきぱき処置していく。

 マリアは手元を見ながら感心していた。