四日が経った。
新たなルームメイトを迎えた家で、俺たちの関係は少しずつ変わり始めている。
毎朝キッチンから漂ういい匂いに引き寄せられて一番に起きる。中学時代、学校へ行く前に家の周りを走っていたからか、いまだに体が勝手に起きてしまう。
たまに日が昇る前に目が覚めるときは、朝焼けを見ようと散歩に出かけたりする。
「水」
他のルームメイトふたりが揃ったあと、起きてくる林太郎の第一声はいつもこれだ。
「毎朝毎朝自分で入れろよ」
「俺、低血圧」
いつも以上に低いテンションでキッチンカウンターにもたれかかり、冷蔵庫の前に立つ俺を使ってくる。いつの間にか俺のことも〝海〟と名前で呼んでくるようになり、だんだんと慣れてきたようだ。
「いつまで寝てるの遅刻するわよ!」
仕方なくコップに水を入れてやると、叫ぶマリアの声が響いてきた。
最後まで起きてこない熊に痺れを切らして部屋の扉を叩きに行くのは、もはや恒例になっている。
「いい加減起きなさい!」
怒られてようやく半分寝ているような顔で起きてくるのは、みんなが朝食を食べ終えた頃だ。慌てて仕度する熊は、とりあえずマリアの特製スムージーだけ飲んで行く。
「うえっ、お前それよく飲めるな」
林太郎は苦虫を噛み潰したような顔をした。
なにが入っているかは分からない謎のスムージー。見た目はドロドロとした緑色の液体で少し青臭い匂いのとにかく体によさそうな味がする。
最初はみんなウッと顔を見合わせていたが、飲み続けていると意外にも慣れてくるもので、今では平然と飲めてしまっているから不思議だ。