ようやく生活にも慣れてきた九月の第三日曜日。今日は朝から家中バタバタと忙しなかった。
「なんでこうなる」
「俺が聞きたい」
開けっ放しになった扉に寄りかかり、向かいの部屋で腕を組みながらとある人物を見下ろす。
段ボールだらけの室内で壇林太郎がベッドに横になっている。なぜかこの部屋の生徒と交代し、うちへ引っ越してきたのだ。
「嫌がらせか」
「こっち来たら罰則なくしてやるって言われたから仕方なくだよ」
壇は自宅謹慎が明けて一週間、放課後に島のゴミ拾いをするという罰則を課せられていた。
それからどうして引っ越すことになったのかは謎だが、少なからず俺に監視役をさせようとする誰かの企みが働いているに違いなかった。
先日の騒動以来、俺たちは教師たちから友達という括りで認識されていた。
あのときにいた女教師、佐伯先生もそのうちのひとりで、壇のことをなにかと頼んでくるようになった。
おかげで昨日も『学校をサボらないように注意しててよ』なんて学級委員みたいな役回りを押し付けられ迷惑している。それもこれも桜井月に巻き込まれたせいだ。
「なあ、いつの間にふたりは友達に……」
「なってない」
「なってねえ」
こっそり覗きにきた熊が変なことを言うもので、思わず言い返したらふたりで声が重なった。