俺たちは進学した高校が違うものの同じ中学に通っていて、熊とはそれ以来たったひとりの親友と呼べる存在になった。

 高校へ入学してすぐ、理由(わけ)あって不登校になり何もかもどうでも良くなっていた俺に、この島の編入制度を教えてくれたのはコイツだ。

 特別やりたいことがあったわけではないけれど、あの時はとにかく環境を変えたくて話に飛びついた。

 乗り込んだバスは舗装された砂利道を通り、森の中へと入っていく。女子生徒とは暮らしのエリアが分けられていて、このバスは男子寮のある島の中心部に向かっていた。

 学校までスクールバスで通えるようになっている女子寮は、比較的見通しの良い大通りに面した港沿いに点在している。

 これから卒業までの二年間、ランダムに分けられた五人のグループごとに、同じ屋根の下で暮らすことになっていた。

 俺は運よく熊と同じグループになることができた。黄色い屋根の家を通り過ぎてすぐに見えたのが、俺たちが住むことになる青い屋根の家だ。

 平屋の一軒家で玄関前にはウッドデッキが敷かれている。

 バスの中から食い入るように窓にへばりつく男たちが、いかにもアメリカンスタイルといった想像以上にお洒落な外観で驚かされていた。

 どこの家も造りはほとんど同じだが、外壁やレンガの種類が少し違っていて、細部にこだわっている様子が伺える。