見られた、と心臓の鼓動が一気に加速する。
フードの隙間からは金色の髪が光り、冷め切ったような鋭い目が私たちをとらえていた。
しかし、彼はなにも言わずに背を向けて歩き出そうとする。
「あ、ちょっと」
慌てた誠くんが引き留めようとするが、彼は止まる様子がない。
「きみ、待ってって」
「星野先生?」
声を聞きつけてか、誰かが誠くんの名前を呼んだ。びくっと反応する彼が恐る恐る振り返ったら、後ろには強面の主任教諭がいた。
「こんなところで女生徒となにを」
「あ、いや……」
あたふたと口ごもる誠くんを、怪しむ先生が眉間にしわを寄せながらゆっくり近づいてくる。
「君も準備をさぼってなにしてる」
蛇に睨まれた蛙のようだ。
今度は私に委縮して声が出なくなり、誠くんに助けを求めようにも視線を逸らされてしまう。
「おい、そこにいるのは壇か」
さらに人影を見つけた先生が目を細める。背を向けていたはずの金髪の男の子はいつの間にか立ち止まっていて、ポケットに手を突っ込んだまま気だるそうにこちらを見ていた。
「星野先生、この状況説明していただけますね」
問い詰められる誠くんは、きっと頭をフル回転させて言い訳を考えているだろう。瞳孔が開いてしまい、額には汗をかいて絶望的な顔をしている。