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高校一年の十月、掲示板に貼り出されていた、とある広告を目にした。
【アメリカンアイランド計画――自由な環境が未来を担う子供たちを変える】
お偉い政治家たちが銘打って、試験的に始めた新しい教育プログラム。無人島をアメリカ風の街へと作り変え、未来に希望を込めた高等学校『ヒカリノアカデミー』が設立された。
選抜方法は明かされていないが全国から寄せられた応募者の中から選ばれた二〇〇名の生徒たちだけが、高校二年の九月に編入できる。
それぞれ街中に建てられた家で共同生活を送ることになるが、卒業まで完全移住のため島から出ることを禁じられていた。
コンビニは港の近くにある一軒のみ。週に一度本や衣服を運んでやってくる商船が市場を開放するのを待つだけだ。電波も飛んでいない島には通信機器の持ち込みができず、現代社会から引き離される。
いわば、デジタルデトックス。
都会暮らしの立場からしたらあまり住み心地が良いとは言えない。それでも全国各地からこのプログラムに参加しようと集まってくるのだから、それぞれ何かを抱えてここへたどり着いたに違いない。
自分もまた、そのうちのひとりにすぎなかった。