「五、四、三、二、一……」
島中の声がひとつになる。
水上に停まる船から高い音を響かせて立ちのぼる一筋の光は、一瞬の間をあけて夜空に大輪の花を咲かせる。
遅れて届いた破裂音があたり一面に響き渡った。
「ハッピーニューイヤー!」
年が明けた。
ビーチにはレジャーシートを敷いて座る人でぎっしりと埋め尽くされていた。
連続で打ち上がる花火にみんなの視線が釘付けになる。
一番楽しみにしていた月も瞳をキラキラさせていて、横目に見ながらゆったりと手を後ろについた。
「綺麗だね!」
突然耳元で聞こえた。
花火に負けないよう少し近づいて声を出す月はにっこりと笑っていて、俺は軽く頷いて返した。
少し間隔をあけて花火があがり始めると、他の三人は屋台を見にいなくなった。
俺はふたりっきりになった途端、ここぞとばかりに声をかけた。