「あ、ちょっと待ってね」

 すると月は家に入っていく。

 微かに声がした気がすると、半ば強引に引っ張られながら桐島が外へ出てきた。

「ちょっと三人! 鼻の下伸ばしすぎ」

 月に言われ、反射的に手で口元を隠す動作が重なった。

 首元を触りながら目を泳がせる桐島はとにかく色っぽい。紺地に白い花柄の浴衣は、同じ年とは思えないほど大人びていた。

 最近はオレンジだった髪色も少し暗めの茶に染め直し、雰囲気がガラリと変わった。

「なんか私のときと全然反応違くない?」

 拗ねる彼女は、まあいいけど、と言いながら楽しそうに歩き出す。

 その後ろをついていきながら、三人ともどこか落ち着かなかった。