ふと林太郎の方を見たら、机の上にラッピングされたままのプレゼントが置かれているのに気付いた。

「あれ、月にあげてねえの?」

 前々から注文していたものがやっと届いたのだと喜んでいて、市場まで受け取りに行ったのを思い出す。それなのに開けた形跡もなく綺麗に残されていた。

「え、なに」

 すると、場が凍りついた。ひどい空気だ。

「お前はまた傷口に塩をぬるようなマネを」

 林太郎は、やれやれと言った表情で、なにが起こったか分からないがまずいことを言ったらしい。

「いいんだ、あれはいい思い出」

 熊は気味が悪いほどの作り笑いを見せてくる。大きなため息をつき「気にしたってしょうがないんだった」なんてぶつぶつ言った。

 あれほど悩んでいたのが嘘のように熊の服はいきなり決まった。

 数分後、月たちの家に到着した。チャイムを押すと、玄関で待ち構えていた月が勢いよく飛び出してくる。

「ジャーン!」

 両手を広げる彼女は浴衣姿で登場した。