今年最後の日がやってきた。

 これまで何度も過ごしてきたものとは違い、夏の暑さのまま迎える大晦日は変な感じがする。

 今日もいつも通りの練習を終えてシャワーを浴びたあと、着替えて熊の部屋を覗いた。

「花火って言ったらこっちかな? それともこっち?」
「どっちだっていいわ」

 中からは林太郎と言い合う会話が聞こえてきた。

「もう出るんじゃねえの?」
「服が決まんないんだと。女子か」

 呆れる林太郎は椅子にもたれかかって左右に揺れている。

 指さす先には鏡の前で着せ替え人形と化している熊がいて、あーっと納得した。

「早くしろー」

 月たちを迎えに行く時間はとっくに過ぎていた。

 急かしてみるがまだまだ終わりそうにもなく、仕方なしに熊の部屋で座り込んだ。