たまたま見かけられるわけはなく、きっと気にして様子を見にきてくれたんだろうと察した。

 気が抜けたように笑い、ごろんと寝転がった。

「自分の力、過信してたのかな」

 なんとなく彼女になら弱みを見せられるような気がした。

「周りに追いつくので精一杯だし、波があるからプールともわけ違うしさ。競泳ならそう簡単に負けなかったのにな」

 ずっと心の中だけに秘めてきた気持ちを月になら見せられるような気がした。ありのままでいられる気がした。

 なにかを言おうとしては言葉を飲み込んで悩む月を見た。

「頑張ろ」

 彼女の顔を見たら踏ん切りがつき、心のうちを吐き出せたおかげでスッキリした。

 ふぅっと息をつき、立ち上がる。

「来週の花火大会!」

 先にパーティーへ戻ろうと玄関の扉に手をかけた瞬間、月の声に引き止められた。

「ああ、大晦日の?」
「一緒に行きたい」

 前のめりになってこちらを見上げてきて、あからさまにドキッとした。