騒がしい声と陽気な音楽が聞こえてくる。

 みんなはクリスマスパーティーの真っ最中だ。俺はひとり、外のウッドデッキに出て夜空を見上げる。今日は特に星が綺麗に見える日だ。

 ウィンドサーフィンを始めて一ヶ月が経とうとしている。

 競泳のためにわりと鍛えてきた方だとは思っていたのに、使わない筋肉を使い全身が悲鳴を上げていた。

「海くん」

 後ろから明るい光に照らされたかと思えば、玄関の扉が開いて月の声がした。

 ぎこちなく近づいてきた彼女は少し離れて隣に座った。

「なにしてるの?」
「マリアがうるさいから出てきた」

 冗談っぽく返すと、小躍りしていた姿が頭に浮かび、くすくすと笑い出す月につられて口元が緩んだ。

「そっちは? 向こう盛り上がってんじゃん」
「えっと、風が気持ちよさそうだなって」

 そういう今日はあまり風がない。

「変なやつ」

 笑って言うと、別にいいじゃん、なんて言って頬をパンパンに膨らませた。