それにしても本当に見当たらない。

 さっきまでみんなとツリーの近くにいたはずなのにとキョロキョロしたら、タイミングよく熊くんと目が合った。

「そういえばさっきの」
「海くん見た?」

 近づいてきた彼に聞こうとしたら、声がちょうど重なる。

「あ、ごめん。先にいいよ?」

 少し恥ずかしくなって譲ると、彼は顔を引きつらせ苦笑いを浮かべた。

「月ってさ、海のこと好きだよな」
「え?」

 一気に顔が熱くなるのを感じた。

「いやいや、ないないない」

 慌てて頬を両手で押さえながら、ぶんぶん首を横に振る。

「だって私別れたばっかりだよ? 一ヶ月も経たないうちに新しい誰かとかまさか」

 隣にいるナオミを気にして笑い飛ばしていた。

「え、そうなの? 好きなんだと思ってた」

 しかし彼女から意表をつく言葉を受ける。

 もはや逆に驚いたような顔をされ思考が停止した。