「変なの」

 ひとりになって呟きながら、私は荷物を抱えて帰路にたった。

「ただいま!」
「おかえり……ってなに。笑って気味悪い」

 家に着いてすぐナオミの部屋を覗いた。

 相変わらずの冷めた発言を浴びるものの、緩みっぱなしの口角をあげて笑う。

「内緒!」

 ステップを踏みながら自分の部屋へ向かった。

 早速バッグの中身を確認すると、懐かしい浴衣が入っていた。

 実は大晦日に花火大会が開催されるそうで、ビーチには屋台が出る。これは浴衣を着るしかないだろうと、お母さんに頼んで送ってもらった。

 テンションが上がる私は枕に顔を埋め、足をバタつかせていた。

 翌日は朝早くからビーチに来た。

 私は砂浜に建てられた小屋の陰にひっそりと隠れている。

「なにやってんの」

 背後から聞こえた声にびっくりするが、すぐに熊くんの顔が見え安堵した。

「パーティーの準備するって言ってたのに全然来ないから探しに来た」
「だって気になるんだもん。一応、背中押した責任? あるしさ」

 一緒になってしゃがみ込み、同じ方向に目を向ける。