今年最後の商船が島に着いた。

 実力テストを終えて冬休みに入った私たちは、なんとか全員補習を免れた。

 明日のクリスマスイヴはみんなでパーティーをしようと盛り上がっているが、そのあとに控えているもうひとつのビックイベントのために用意していたものがあった。

「間に合ったあ」

 朝一番で市場に駆け込んだ私が安堵の声を漏らすと、重なって同じセリフが隣から聞こえてくる。

 横には熊くんが小さな段ボールを抱えて、にやにや笑みを浮かべていた。

「なにが間に合ったの?」

 家から届いた大きなバッグを胸に抱き、こちらに気づいていない様子の彼を覗き込む。

「月!」

 驚いて後ずさり、なぜか慌てて荷物を背中に隠した。怪しい挙動を疑いながらじわじわと近づいていく。

「なに隠したの?」
「あのー、そのー」

 笑って誤魔化す熊くんは「じゃあな」と走っていってしまった。