「よっしゃあ、休憩だあ」

 やっと机に戻ったのに分かりやすく喜ぶ熊の勉強は結局ほとんど進んでいない。

 呆れる月は思いっきりため息をついていた。

 手伝ってくると言って桐島とふたりで部屋を出て行くと、熊が「あー」と大きな声を出す。

「本当に補習になったらどうしよう。月に呆れられて冬休みも遊べなくなって、俺は終わりだあ」

 そのままカーペットの上に寝転がった。

「これじゃ告白どころじゃねえじゃん」

 絶望したように頭を抱えているが、林太郎が渡してきた漫画をパラパラ見始めたら気を取られていた。

「なんも言わねえの?」
「なにが」
「前は告白するって言うと絶対反対してきたじゃんか」

 物足りなさそうにベッドの下から這いつくばってきた熊と目があう。

 たしかに、恋人がいると知っていたときは熊のためを思って止めたが、今となっては人の恋愛にとやかく言う理由なんてない。

「いいんじゃん、別に」

 一瞬考えたあとすぐにそう答えた。