「ほら続きやるよ? ひとりだけ補習になっても知らないからね」
「それはやだ! 月ちゃん見捨てないで」
「いいからもう座って」
月はあれからいつも通りの元気を取り戻していた。
星野は一身上の都合で島を出ていった。
一方でなにも知らずに付き合っていた加賀美は、すぐに見切りをつけて別れたようだ。
密かに、浮気相手の月に冷たく当たるんじゃないかと警戒していたところもあったが予想は大きく外れた。
『あのクソ野郎、女なめてんじゃねえよって感じよね。桜井さん別れて正解!』
こっそり保健室に呼び出されたかと思えば、暴言の数々が飛び交い、こっちの顔が引きつった。
終いには『まだ若いんだから』とおばさんくさいセリフを続ける。
見た目に反して意外にもサッパリした性格をしていて、人は外見で判断してはいけないと改めて感じた。
「みんな、お昼にしない?」
リビングの方からマリアの声が聞こえた。