十二月に入り、冬休み前の実力テストが迫っていた。
「なんでまた俺の部屋なんだよ」
最近は休みの日に集まって試験勉強をしているが、決まって俺の部屋が使われた。
「だって海くんのところが一番もの少ないから」
平然と言う月はすぐに逃げようとする熊の服を引っ張り、びしばしとスパルタ指導をする。
俺はベッドの上に寝そべりながら、教科書をぱらぱらとめくっていた。
「あー、もうムリ! ムリムリムリ」
叫ぶ熊が頭をパンクさせ、とうとうベッドにダイブしてくる。
中学の頃から勉強がめっぽう苦手で赤点ばかりとっていたのを思い出した。
試験前はこうしていつも、うちに入り浸っていたのが懐かしい。
「なんでみんなして余裕なわけ? てか林太郎とか最初の頃授業さぼってたのに!」
熊は布団に潜りこみ、亀みたいにひょっこり顔を出す。漫画を片手に余裕の林太郎はぽかんと顔を上げた。
「海にノート見せてもらったし、授業聞いてれば六〇点くらいとれるだろ。高得点とか目指してねえし」
「あー、やだやだ。これだから地頭の良いやつらは」
全教科六〇点以上とらなければ、冬休み中の補習が決定する。
赤点濃厚な熊のためにこうして集まっているわけだが、肝心な本人がこれではどうしようもなかった。