「お前本当うざい」

 さっきまでの柔らかい顔を怖くして、熊くんに軽く砂をかける。

 私は嬉しくさのあまり、涙で視界がかすんだ。

「月はここにいていいんだよ」

 最後にトドメをさす海くんの一言で涙が溢れ出した。

「うわあ、ずりい。海ってそういうとこあるよなあ」

 熊くんが不満げに口を尖らせる。なんだよ、とじゃれあうふたりを見ていたら喜びがはじける。

 私は心底、人に恵まれていた。

 ここにいる理由なんて考えなくても、とっくにあったんだ。