この島に来たのは誠くんと一緒にいるため、ただそれだけだった。
だからそれを失った今、心にぽっかり穴が空いたようで虚無感に襲われる。
四人が私を立ち直らせようとしてくれているのはひしひしと伝わってきたけれど、このままここにいるべきなのかわからなくなっていた。
「私、元の学校に戻ろうかなって」
いろんなものが耐えきれず自分の中にある不安から逃げるように言う。
みんなはきっと恋愛に左右されて、コロコロと人生を変えるような私を軽蔑しただろう。
悲しそうな顔をするナオミと目があい、無理やりに笑顔を作っていたら「あのさ」と壇くんが声を出す。
「双子の弟がいるんだ。俺より一〇〇倍優秀なやつ」
突然話し出した彼に注目が集まった。
「これでもそこそこでっかい病院の後取りでさ。小さい頃は父親から期待されてた」
胡座をかいて無造作に砂をさらいながら、壇くんは一点を見つめていた。