「キャンプのとき」
一筋の光を見つけてしまったような気がした。
「ああ、あん時いたのお前だったんだ。暇すぎてサボって……」
「やっぱカメラ持ってたよな?」
話を途中で遮って、慌てて林太郎の肩を両手で掴む。
一瞬にして記憶が蘇ってきた。
桜井月が密会している現場を目撃したとき、ちょうどその近くで林太郎と会った。
もしかしたらあの偶然が奇跡的に繋がるかもしれない。
慌ててカメラのデータを見せてもらった。
「なあ、そんなの見てどうすんの」
「お前の写真に星野と密会してたところが写ってるかもしんない」
無我夢中で画面にくいついた。
「いやあ、見た覚えないけど」
首を傾げる林太郎をよそに俺は必死だった。
被写体はどれも鳥や植物のアップで人が映り込みそうなものはひとつもない。
でもどこかにいるはずだと諦めなかった。
ふたりは木陰で抱き合っていた。
それがもし写真の中に写っているなら、ふたりの関係を証明できるかもしれない。