「やっぱり星野が学校にいる限り無理だろ。どうにかしてあいつをこっから」

　星野だけを追い出すいい策はないかと話し合おうとした矢先、熊がスッと立ち上がる。

「じゃあ俺、先帰ってるわ」

　ここに来てから初めて言葉を発した。

　星野との関係を知って以来、熊はあからさまに彼女の話題を避けていた。

　パーティーでショックを受けた直後に聞く内容としては酷だろうと思ったが、気を遣って隠すのも嫌で正直に打ち明けた。

　だからどんな態度をとっても、心境は複雑なんだろうと見て見ぬふりを続けてきた。

　薄々気づいていた林太郎と桐島も同じだ。

　しかし、さすがの俺もそろそろ我慢の限界を迎える。

「いつまでいじけたんだよ」

　俺は親友の背中に向かって、口調を荒くした。

「別にいじけてないよ。海の方が俺よりいろいろよく知ってんだからそれで十分だろ」

　含みを込めた言い方にカチンとくる。

「いい加減にしろよ！」
「は？　なんで海がそんなムキになってんだよ」

　自分でもよく分からなかったが、熊の態度は気に食わなかった。