もしふたりが付き合っていたと知れれば、彼女にまで処分が下りかねないと言われ、渋々諦めた。

「いつから知ってたの?」

 黙り込んでいた彼女が静かに口を開く。

「キャンプのときにふたりでいるとこ見かけた。でも相手を知ったのは最近」
「そっか、見られちゃってたのか。全然気づかなかったや」

 明るく振る舞おうとして寂しそうに笑う声がすごく痛々しかった。

「バカだなあ、私。なにやってるんだろう」

 鼻をすする音がする。

「あんな人のために編入までして、高校の友達みんな置いてきちゃった。こんなことなら追いかけてなんてこなきゃ良かったな」

 涙をこらえながら心配かけまいと必死に笑顔を作っているのが分かる。

 聞いているこっちが苦しくてたまらなくなった。

 ひとりにさせてほしいと言われ、外のウッドデッキでみんなと合流する。

「どうだった?」

 真っ先に顔を上げた桐島に黙って首を横に振ると、「そっか」と残念そうに口にした。