しばらく沈黙が続くと、背後でもぞもぞと動き出したのを感じた。

「ごめんね、心配かけて」

 やっと聞こえてきたのはかすれた蚊の鳴くような声だった。

「そんなんで謝るなよ」
「うん」

 重たい空気が流れ、また沈黙が続いた。

 学校での日常は当たり前に進んでいて、あんなことがあった後でも星野はなに食わぬ顔で過ごしている。

 三人には事情をすべて話した。

 勝手に話すのはどうかと思ったけれど、引きこもり状態の彼女を見ていられなかった。

 それに俺自身ひとりで解決できるような問題ではなく、助けを求めた。

 正直、あの男の顔は見るだけで腹が立つ。

 すれ違いざまに無意識に睨んでいる自分がいて、何度か林太郎になだめられていた。

 本当ならすべてを暴露して教師になれなくしてやりたかったが、それはみんなに止められた。