「んー、まあたしかに教師じゃないよね。ダイビング講師? そうしたら先生? インストラクターの資格は持ってるし、フリしてるわけじゃないけど」

 ぶつぶつと自問自答し始めた。

 たしかに思い返せばダイビングの授業でしか見たことがない。

 校内を回ってはいたが、正式に教師だと紹介された記憶もない。しれっとした顔で溶け込んでいた彼女を勝手に教師だと思い込んでいただけなのかもしれない。

「警察官って制服来て交番にいるもんじゃないんですか。なんで学校に」

 それでも納得できる答えがほしかった。

 すると口を尖らせ悩んでいた先生がとぼけたような顔でこちらを見た。

「それって、そんなに重要?」

 まさか当たり前だと思っていたことを聞き返されるとは想像もしていなかった。

「どんな格好でどこにいようと私たちが警察官であることは変わらない。もちろん君たちだって警察がいてもいなくても悪いことはしちゃいけないでしょ?」

 でも、と食い下がろうとしたが重要かと問われても説明ができない。

 警察官はそういうものだ。今の俺の頭ではそんな単純な考えしか浮かばなかった。

「ここって島全体が学校みたいなものでしょ?」

 佐伯先生はポケットから棒付きキャンディーを取り出した。