図書館で美女と猛獣のダンスシーンを繰り返し見させられ、カタログの写真をああでもない、こうでもないと言ってなかなか決まらなかった。

 むしろ発案者の桐島ですら途中で妥協しそうになっていた。

 だからようやく形になった会場を見ると、なんとなく達成感があふれる。

「料理は男性陣に任せてあるし、音楽はナオミが考えてくれてるから。うん、なんとか間に合いそう!」

 もういっそのこと実行委員を譲ってしまいたい。

 彼女がすべて管理しているのに、断固として『私はサポートに徹してるの』と言って聞かないから困っている。

 ここにきて、名ばかりでなにもしていないのがだんだん後ろめたくなってきた。

「あ、そうそう。大事なこと言うの忘れるところだった」

 現れた時から持っていた大きな紙袋をあさり始める。

 なにかと思えば、白い花のブローチのようなものをふたつ取り出した。

「なにこれ」

 渡されたそれがなんなのか、まるで検討もつかない。