「いいのかよ、先に発砲されたって訴えるぞ」
「あら、生徒たちを守れるならそれで十分よ」

 余裕綽々(しゃくしゃく)と答える佐伯先生に悔しそうな表情を作る男は観念したのか、素直に手錠をかけられた。

「ナオミ!」

 桜井月が急いで駆け寄る。

 そのまま抱きついた瞬間、桐島が安心しきったようにボロボロと泣き始める。彼女からこぼれる涙を初めて目にした。

 その後、応援にきたヘリコプターで近くの病院へと搬送された。

 俺たちも一度警察に呼ばれ事情聴取を受けることになったが、長い長い一日は犯人逮捕で幕を閉じた。