無人島でぼくたちは


「待って、ナオミ」

 すると、自転車を置き去りにして桐島が近くの森に入りこんだ。その後ろを桜井月が追いかけていく。

 俺は立ち入り禁止の看板を見て、おい、と声を出したが時すでに遅い。仕方なく、ふたりを見失わないよう後を追った。

 どれくらい進んだだろうか。方角もわからないまま、自分がどこにいるのか見当もつかない。ぐるりと見渡しても同じ景色が広がっていた。

「あんまり行くと危ないよ」

 心配そうに言う桜井月の静止も聞かず、桐島は歩みを止めようとしない。

 俺は急いで追いつき、腕を掴んで引きとめた。

「一回この辺で……」
「ナオミー!」

 言いかけた言葉は、森の中に反響する低い声にかき消される。

 雷でも落ちた勢いでしゃがみ込んだ桐島は、二の腕に爪を立て小刻みに震え出した。

「おーい、いるんだろう」

 声はどこから聞こえているのか。

「こっち」

 俺はひとまず桐島の体を支えて移動した。

 ちょうど三人が隠れられるぐらいの大木の裏に入り、こっそり周りの様子を伺う。

「なんであいつが」

 背後では膝を抱えて顔を埋める桐島が囁いている。たまらず小さくなった彼女を抱きしめた桜井月だったが、体は震えていた。