「どことなく誰かに……」
「あ! ナオミだあ」
すると、駆け寄った桜井月がすぐに気づいたように口にする。
「桐島?」
「うん、絶対ナオミだよ。目元とかそっくりだし、すっごい可愛い! ハーフみたい」
なんの疑いもなく発言するが、半信半疑の熊と目が合い、つられて俺も写真を確認した。
年は五歳くらいだろうか。髪色はこげ茶っぽく今の桐島らしさはないが、言われてみればアーモンドのようなハッキリとした瞳は彼女と似ている。
見れば見るほど桐島にしか見えなくなっていった。
「たしかに、似てるわ」
バックヤードからふらっと出てきた林太郎が、後ろから覗き込んでぼそっと言う。
「でも、なんでさっきのやつが桐島の写真持ってんの?」
熊は口元を引きつらせる。同じ疑問を抱いていた俺は、思わず背筋がゾクっとした。
『市場にナオミだけ残してきちゃったじゃん』
『誰にも言わないで』
桜井月の言葉と共に思い出す桐島のセリフが、どうしようもなく胸のあたりをザワつかせた。
「とにかく桐島を捜しにいこう」
胸騒ぎの正体が気のせいであってほしいと願いながら、見過ごすわけにはいかなかった。

