無人島でぼくたちは


 ハロウィンを三週間後に控え、日曜の朝を迎えた。

 コンビニの雑誌コーナーに立ち、顔の前で適当なファッション誌を広げる。

「お客様立ち読みはご遠慮くださーい」
「バカ、隠れてんだよ」

 バイト中の熊が絡んでくるのを振り払い、外の様子を気にした。俺はさっきまで港の市場にいたが、桜井月と桐島から逃げてきた。

「休みの日まで、月といられるだけで羨ましいんですけど」
「俺はめんどくさい」

 朝早くから家まで押しかけてきて、衣装や内装に必要なものをリストアップしたと強引に市場まで駆り出された。

 でも結局なにもわからない俺は立っているだけだ。こだわりも強く細かい注文までし始めて、退屈のあまりバレないように姿を消してきた。

「だったらバイト代わってほしいわ」

 熊は陳列棚に軽く背中を預け、ため息をついた。

 すると自動ドアの開く音がして、入店の音楽が流れた。

「いらっしゃいませー」

 反射的に反応する熊と共に視線を向けたら、三十代くらいの男が立っていた。

「すみません、トイレ借りてもいいですか」
「あ、はい。どうぞ」

 アロハシャツにハーフパンツというラフな格好。すれ違いざまに微笑んできて、気味が悪かった。