「ウィンドサーフィン。もしかして興味ある?」

 いつの間にか見入っていて、先生の言葉にハッとする。ウィンドサーフィンというのか。初めて目にした。

 にやりと笑みを浮かべ、先生が立ち上がった。

 そのうち水上からこちらに向かって手を挙げ、見ていろと言わんばかりに動き出す。

 帆を操り水を切って進んでいくと華麗に回転を決める。大きな波に乗るとそのまま大きく跳ねあがった。

「どう?」

 得意げに戻ってきた先生は波打ち際にボードを置き去りにして、息を切らしながら定位置にまた座る。

 体の重心を後ろに倒し、砂浜に両手をついた。

「私さ、若いときウィンドサーフィンでプロ目指してたんだよね」

 自然と先生に顔を向けた。

「結局才能なくて挫折しちゃったんだけどさ」

 どこか自分の過去とリンクする。

 しかし辛いであろう過去を話しているはずが、先生はどこか楽しそうだった。