ん?
 なんで不思議そうな顔をするの?
 私が2人の恋に協力するのがそんなに不思議?

 あはは!

 だってカレシは女のステータスだからね。
 格上のコーデリアが冴えない貧乏貴族と結婚したら、最高に気持ちいいじゃん?(笑)
 2人が結婚したら毎日でも会いに行ってあげるよ。
 見下すためにね!

 というわけで。
 私は全力で二人の仲を取り持った。

 それもうあらゆる手を尽くして頑張った。
 忙しいお父さまにもあれこれお願いをした。

「ふぅ、誰かのために頑張るって、なんて気持ちいいことなのかしら」


  ~~後日。
 
 コーデリアの結婚が決まり、私のところにも結婚式の招待状が届けられていた。

 そのお相手は……大陸最大の領土を持つ覇権国家シュヴァインシュタイガー帝国の皇太子だった。
 そしてそれはあの冴えない貧乏貴族の息子だったのだ!

「はぁっ!? あの貧乏貴族の冴えないヒョロもやしが、実はシュヴァインシュタイガー帝国皇帝の隠し子!? 意味分かんないんだけどっ!?」

「皇帝は男系直系が習わしながら、今の皇帝には娘しかおりませんでした。そんな皇帝がその昔、駆け落ちした時にもうけた子供がかの青年だったようですな」

「な、な、な……なにそれ!? マジで意味不明なんだけど!?」

 だって帝国の皇太子ってことは、次の皇帝だよ!?
 それも覇権国家シュヴァインシュタイガー帝国の!
 財力も権力も問答無用で世界最強なんだよ!?

 しかもよくよく思い返してみたら、冴えないと思っていた顔面偏差値は割と整った顔立ちだし?
 ひょろモヤシと思ってたら意外と細マッチョだし?
 男らしくないように見えた性格も、裏を返せば穏やかで誠実な性格ってことだし?

 そして極めつけが次の皇帝って身分だよ!

 なんなのこれ!?
 超超超超×100でも足りないくらいの最高の優良物件じゃん!

 くっそー!
 このことを教えてくれたら恋愛相談に乗るふりして、誘惑して寝取って既成事実を作って、私が彼と結婚したのに!
 そしたら私が大帝国の皇太子妃だったのに!

 なのに!
 よりにもよっていつも親友ヅラして見下してくるあの女が、その世界最強のステータスを手に入れるなんて!

 しかも私がそれを全力でサポートしちゃったなんて!!!!

 ああ、もうだめ。
 何してるの私。
 本気で死にたくなってきたよ……。

「しかもマリア様を国賓として結婚式に招待してくれるそうですぞ」

「うん……そうみたいね……」

「シュヴァインシュタイガー帝国といえば、広大な領土と圧倒的な軍事力を誇る大陸最大の巨大帝国。そこの国賓待遇とは、これはマリア様もお館様(マリアのお父さん=セレシア侯爵)も実に鼻が高いことですな」

「ええ、そうね……うん、そうね……そう、ね……」

 あーもうマジさいあくさいあくさいあく!!

 ゆるせん、寝る!!!!!!!!!