座り込んだのは、双子だった。諦めるとは決して言わないが、最も年少の彼女たちが疲弊してしまうのは仕方のないことだった。
次第に陽は傾き、西日が全員の背や頬を照らす。犬のムギも疲れたのか、虎太郎がペットボトルから垂らした水を飲み、地面に伏せて舌を出している。
薫子を心配し、颯介が手を止めた。彼女は一つ年上なだけの女の子だし、そんな彼女は颯介の大切な人だ。説得して休ませ、颯介がタオルを手渡している。
イチョウの木の周りには、いまやぽこぽこと穴が空いていた。その中から石が出てくる度に落胆は大きくなった。
ここだ、ここにあるはず。文也は信じて掘り続ける。
重三が手を休めて汗をぬぐい、最後に残った虎太郎の動きも重くなっている。誰一人、もうやめようとは言わないが、もしかしたらという疑心は膨れていた。この木の下ではないのでは。なにかが間違っているのでは。こんなに見つからないことがあるだろうか。夏の熱気は、確実に体力を奪い、精神力を削っていた。
遂に、虎太郎も手を止めた。豆のできた手をペットボトルの水で洗う。「ちょっと休憩」と座り込む。
文也が地面にシャベルを立てる音が響く。いつの間にかヒグラシが鳴き出していた。強い夕陽が彼の背中をじりじりと焼いていく。文也も焦っていた。今日を逃せばもう機会はない。しかし陽は確実に落ちている。暗くなれば作業はできない。もう少し、あと少しなのに。
桜はもう、向こうにいかなければならない。いつまでも幽霊として、言葉だけを送る存在にしたくない。
それだけを胸に思い切りシャベルの先を土に埋めた時、ムギが吠えた。腹の底を震わせる大声で、わんと鳴く。シャベルの先に硬いものが触れるのを感じた。土とは異なるものが埋まっている。
シャベルを放り、地面に膝をつき、素手で土をかき分ける。指先に、硬くすべすべした感触。現れた銀色は、汚れているが光沢がある。
爪の隙間に土が入り込み、豆がつぶれ、手に血が滲む。ひりつく痛みに奥歯を噛んで耐えながら、文也は両手で地面を掘った。わんわんと一層、ムギが吠えている。その力強さに勇気づけられるように手を動かす。
次第に陽は傾き、西日が全員の背や頬を照らす。犬のムギも疲れたのか、虎太郎がペットボトルから垂らした水を飲み、地面に伏せて舌を出している。
薫子を心配し、颯介が手を止めた。彼女は一つ年上なだけの女の子だし、そんな彼女は颯介の大切な人だ。説得して休ませ、颯介がタオルを手渡している。
イチョウの木の周りには、いまやぽこぽこと穴が空いていた。その中から石が出てくる度に落胆は大きくなった。
ここだ、ここにあるはず。文也は信じて掘り続ける。
重三が手を休めて汗をぬぐい、最後に残った虎太郎の動きも重くなっている。誰一人、もうやめようとは言わないが、もしかしたらという疑心は膨れていた。この木の下ではないのでは。なにかが間違っているのでは。こんなに見つからないことがあるだろうか。夏の熱気は、確実に体力を奪い、精神力を削っていた。
遂に、虎太郎も手を止めた。豆のできた手をペットボトルの水で洗う。「ちょっと休憩」と座り込む。
文也が地面にシャベルを立てる音が響く。いつの間にかヒグラシが鳴き出していた。強い夕陽が彼の背中をじりじりと焼いていく。文也も焦っていた。今日を逃せばもう機会はない。しかし陽は確実に落ちている。暗くなれば作業はできない。もう少し、あと少しなのに。
桜はもう、向こうにいかなければならない。いつまでも幽霊として、言葉だけを送る存在にしたくない。
それだけを胸に思い切りシャベルの先を土に埋めた時、ムギが吠えた。腹の底を震わせる大声で、わんと鳴く。シャベルの先に硬いものが触れるのを感じた。土とは異なるものが埋まっている。
シャベルを放り、地面に膝をつき、素手で土をかき分ける。指先に、硬くすべすべした感触。現れた銀色は、汚れているが光沢がある。
爪の隙間に土が入り込み、豆がつぶれ、手に血が滲む。ひりつく痛みに奥歯を噛んで耐えながら、文也は両手で地面を掘った。わんわんと一層、ムギが吠えている。その力強さに勇気づけられるように手を動かす。