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「それが、あの日の真実よ。あの後すぐに、龍臣くんのお家はお引越しをしてね。今どこにいるのかもわからないの。二度と顔を見せないでって言われて、その通りだと思った。優恵、今まで黙っていて、本当にごめんなさい。ただでさえ苦しんでいた優恵に、龍臣くんの話はしないほうがいいってお父さんと相談して、タイミングが来るまではずっと黙っていようって決めたの」
「……うん。話してくれてありがとう」
気が付けば、みんな泣いてしまっていた。
優恵はあの日の途方もない後悔に。
直哉は自分の命が助かるきっかけと龍臣の両親の決意に。
優恵の両親は、親としての責任と自分たちより早く子を亡くす絶望に。
それぞれが、それぞれの想いを胸に涙を流した。
「……でも、知れてよかった」
「……うん。俺も。知れてよかった。俺の命は、やっぱり龍臣に救われたってわかった。龍臣の家族の俺には理解しきれないほどの覚悟の上で、自分の命を繋げてもらっているのがわかった。……話してくれて、ありがとうございます」
頭を下げた直哉に、二人は
「こちらこそ」
と笑う。
「さぁ! お話はこれくらいにして、残りも食べちゃいましょう! あ、あと直哉くんが持ってきてくれたケーキも出すからね!」
「あ、いいんですか? ありがとうございます」
「優恵がお友達連れてきてくれるの、初めてなのよ。だからゆっくりしていってね。たくさん食べていってね!」
「はい!」
みんなで涙を拭いて、ティッシュで鼻をかみながら残りの食事を楽しむ。
直哉はすっかり原田家に溶け込んでおり、元々知り合いだったかのように仲が良くなった。
「なんか、龍臣くんの心臓を持ってるって聞いたからかな。もう他人とは思えないのよ」
優恵の母親の言葉に、直哉は嬉しそうに笑うのだった。