そんな二人が向かった先は、予定していたふれあい館。

 うさぎやひよこ、モルモットなどとふれあえるコーナーで、小さな子どもや二人と同じような学生らしき人たちがたくさんいた。


「すごい混んでるね……」

「そうだな、あ、あっちの方空いてる。行こう」

「うん」


 それまで繋がれていた手は自然と離れ、柵で囲われた中を覗き込む。


「うわぁ……可愛い……」


 そこはうさぎのコーナーのようで、様々な種類の可愛いうさぎが何匹もいた。
周りを見てみると有料の餌をあげたり職員の手を借りて抱っこしてみたり、優しく触ってみたりと楽しそう。

 優恵はあまり表情には出していないものの、内心すごくワクワクしていた。

 どうやら直哉も小動物は好きなようで


「あの子可愛くない?」


 なんて、見ただけだと優恵よりはしゃいでいるようだ。


「本当だ! あの子可愛い……!」


 優恵もうさぎに釘付けで、直哉はうさぎも見つつそんな優恵にも視線を奪われる。
ちょうど職員の女性が二人の元へやってきて、お目当ての子の抱っこをさせてくれた。


「わ……どうしよ、直哉くん、動いてるっ」

「ははっ、そりゃ動くだろっ」

「そっか、そうだよねっ……」


 うさぎを抱っこしたのは初めてだからか、珍しく優恵が動揺しているのを見て嬉しくなった直哉。


「優恵、写真撮るからこっち向いて」

「え? あ、ちょっと待って」

「ほら笑って!」


 優恵が戸惑っている間に直哉はその姿を写真に撮る。


「もう! 勝手に撮らないでよ!」

「ごめんごめん。可愛くてつい」

「もー……ほら、今度は直哉くんも」

「あ、俺も?」

「どうぞ、抱っこしてあげてください」

「あ、ありがとうございます」


 優恵が職員の女性にうさぎを渡すと、そこから続けて今度は直哉の腕の中へ。


「うわ、結構動くっ」

「ふふ、私と同じこと言ってるっ」

「いや、だってっ」

「ほら直哉くんも、写真撮ろ」

「待って待って落としそう!」

「大丈夫すぐ撮るから!」


 さっきの仕返しとばかりに今度は優恵が写真を撮り、その後すぐにうさぎを職員に返す。


「あったかかったな」

「うん。それにやっぱり可愛かった」

「あっちに餌売ってる、買ってこよう」

「うん!」


 二人で餌のニンジンを買いに行ってから戻ると、うさぎが何匹も群がってくる。


「ちょっとちょっと、順番だって!」

「ははっ、直哉くんうさぎにモテモテだねっ」

「それはちょっと予定と違っ……わかった、君にもあげるからちょっと待てって!」


 何故か直哉の方に集まるうさぎ。
直哉は焦りながらどうにか平等にニンジンをあげていて、そんな直哉を見て思わず笑う優恵は寄ってきた一羽にゆっくりと食べさせる。

 その後もひよことモルモット、他のコーナーにいた山羊や羊ともふれあうことができ、大満足のままレストランに向かった。