キキーッ、ドンっ。
 「俺、今日誕生日なんだ。ケーキ買ってきてくれよ」
意識が朦朧とする中、君の笑顔が頭に浮かんで、まだ死ねない、そう強く思った。
言うことの聞かない体を無理やり動かして目に入ったのは、横たわって動かないお母さんとお父さんだった。
 『お母さん、お父さん、死んじゃ、やだよ…』
意識が薄れていく。視界が真っ白になっていく。
あの日のことは忘れたくない。忘れてはならないのに…。