ごく普通の、SNS。
ただ、一つだけ、他のSNSにはないもの——。
——ランキング機能。
投稿したものに対するいいね数、フォロワーの増減数、あらゆる活動を総合評価し、順位が決まる。
ランキングは、自分とフォロワーのみのものと、全ユーザーのものがある。ローカルランキングと、オールランキングの二種類。
このランキングにかけている。
このランキングのために生きていると言っても過言ではない。
輝く人に、なりたい。
誰かに憧れられるような人に、なりたい。
どうしたら、あの子みたいにおしゃれになれるんだろう。
どうしたら、この人みたいに魅力的な人になれるんだろう。
どうしたら、みんなが納得するくらい輝けるのだろう。
そんな思いから、SNSをチェックすることを習慣付け、自分を磨くことに全力を注いだ。
それで結果が出れば、自分に自信がつく。でも、結果が出なければ、自分が憎くなる。
この繰り返し。
優越感と劣等感に振り回される日々。
しんどいものだ。だけど、そんな生活がいいストレスだと思っている。
「なんでそんなに暗い顔してるの?」
天だ。昔からの大親友の野崎天。
綺麗で美しい顔。艶のあるサラサラな髪。絶対着崩さない真面目な制服。
見慣れた天の姿。でも、天を見るだけで元気になれるような感じがする。
何も話すことがなくても、天と話したくて話題を探す。
「天、雅抜かされた、ローカルランキング。一番のライバルに」
天にSNSのランキングの画面を見せた。
「そうなの?でもちょっとじゃん、差。誤差だよ。雅なら、すぐトップに返り咲けるよ、大丈夫だよ。オールランキングまた順位上がってる!雅すごいよ!」
天は優しく包み込むような笑顔を見せた。
ほっとした。
天は、雅の気持ちを感じとることが得意。だから、雅の気持ちに優しく寄り添ってくれるので、とても居心地良い。天と一緒にいると、安心する。雅は、天の優しくてポジティブなところが大好きだ。
雅が失恋した時は、隣で慰めてくれた。雅のテストの点数が上がった時は、一緒に喜んでくれた。
天と一緒にいれば、何も怖くない、最強だ。なんて、よく思う。
昼休み。周りの喧騒など耳にも入れず、お弁当箱を片付けて、スマホを手に取った。SNSを開いて、まずはランキングとフォロワーの動きなどをチェック。またフォロワーもいいねも増えている。しかし、ランキングは朝のままだ。
今日は、何を投稿しよう。毎日そう考える。何がおしゃれか、何が流行っているかリサーチする。そして、どんなものが輝いて見えるかたくさん考える。
おしゃれなカフェの写真を載せてみたり、なんとなく空の写真を載せてみたり。ただ、顔は絶対に出さないようにしている。自分の顔に自信がないから。
最近は、フォロワーが増えてきているので、一分もしないうちにいいねがつく。それだけで、嬉しくてたまらない。
おしゃれでいいなとか、憧れるというコメントを見ることで、パワーをもらえるような気がする。自己肯定感がアップする。
画面の向こう側で雅のことを見てくれていると感じることが、日々の楽しみだ。
今日は最近気に入っている靴の写真でも、載せようかな。
今日はいいね、たくさんくるかな。どんなコメントがくるかな。フォロワー増えるかな。期待に胸を躍らせた。そして、SNSを閉じた。
何これ。
「この世界は一時間、時が止まっている」
ネットニュースのこの記事に目を留めた。
一日一回、時空が歪んで全ての動きが止まる、らしい。
ただ、一つだけ、他のSNSにはないもの——。
——ランキング機能。
投稿したものに対するいいね数、フォロワーの増減数、あらゆる活動を総合評価し、順位が決まる。
ランキングは、自分とフォロワーのみのものと、全ユーザーのものがある。ローカルランキングと、オールランキングの二種類。
このランキングにかけている。
このランキングのために生きていると言っても過言ではない。
輝く人に、なりたい。
誰かに憧れられるような人に、なりたい。
どうしたら、あの子みたいにおしゃれになれるんだろう。
どうしたら、この人みたいに魅力的な人になれるんだろう。
どうしたら、みんなが納得するくらい輝けるのだろう。
そんな思いから、SNSをチェックすることを習慣付け、自分を磨くことに全力を注いだ。
それで結果が出れば、自分に自信がつく。でも、結果が出なければ、自分が憎くなる。
この繰り返し。
優越感と劣等感に振り回される日々。
しんどいものだ。だけど、そんな生活がいいストレスだと思っている。
「なんでそんなに暗い顔してるの?」
天だ。昔からの大親友の野崎天。
綺麗で美しい顔。艶のあるサラサラな髪。絶対着崩さない真面目な制服。
見慣れた天の姿。でも、天を見るだけで元気になれるような感じがする。
何も話すことがなくても、天と話したくて話題を探す。
「天、雅抜かされた、ローカルランキング。一番のライバルに」
天にSNSのランキングの画面を見せた。
「そうなの?でもちょっとじゃん、差。誤差だよ。雅なら、すぐトップに返り咲けるよ、大丈夫だよ。オールランキングまた順位上がってる!雅すごいよ!」
天は優しく包み込むような笑顔を見せた。
ほっとした。
天は、雅の気持ちを感じとることが得意。だから、雅の気持ちに優しく寄り添ってくれるので、とても居心地良い。天と一緒にいると、安心する。雅は、天の優しくてポジティブなところが大好きだ。
雅が失恋した時は、隣で慰めてくれた。雅のテストの点数が上がった時は、一緒に喜んでくれた。
天と一緒にいれば、何も怖くない、最強だ。なんて、よく思う。
昼休み。周りの喧騒など耳にも入れず、お弁当箱を片付けて、スマホを手に取った。SNSを開いて、まずはランキングとフォロワーの動きなどをチェック。またフォロワーもいいねも増えている。しかし、ランキングは朝のままだ。
今日は、何を投稿しよう。毎日そう考える。何がおしゃれか、何が流行っているかリサーチする。そして、どんなものが輝いて見えるかたくさん考える。
おしゃれなカフェの写真を載せてみたり、なんとなく空の写真を載せてみたり。ただ、顔は絶対に出さないようにしている。自分の顔に自信がないから。
最近は、フォロワーが増えてきているので、一分もしないうちにいいねがつく。それだけで、嬉しくてたまらない。
おしゃれでいいなとか、憧れるというコメントを見ることで、パワーをもらえるような気がする。自己肯定感がアップする。
画面の向こう側で雅のことを見てくれていると感じることが、日々の楽しみだ。
今日は最近気に入っている靴の写真でも、載せようかな。
今日はいいね、たくさんくるかな。どんなコメントがくるかな。フォロワー増えるかな。期待に胸を躍らせた。そして、SNSを閉じた。
何これ。
「この世界は一時間、時が止まっている」
ネットニュースのこの記事に目を留めた。
一日一回、時空が歪んで全ての動きが止まる、らしい。