「あなたが危険かもしれない、って事を伝えたら一緒に来てくれたの」
 そんな簡単に付いてきたのか……本当だった故に今更言ってもしょうがないけど。
「……私のお兄さんの話を聞いたら、納得したっていう風にね」
「お兄さん……?」
 それは、初耳だった。
「私のお兄さん、遠藤と付き合ったって話をしてくれていたの。……それからしばらく経って、お兄さんは行方不明になった」
 それだけを聞いた碧人は、どういう事か、理解した。つまりあの五人の中には……。
「そうか……」
 それ以上は、何も言えなかった。
 ……遠藤亜澄の周りは一体何があったのだろうか。
 あの日々、亜澄は一体何を思って碧人と付き合っていたのだろう。
『さよならって言っても仕方ないですよね』
 あの彼女の言葉がまた、頭の中で流れてくる。
 図書室の窓からは、夕日が見えていた。