先に待ち合わせ場所に着いた碧人は、亜澄を待つ間に時々頬っぺたをつねる、改めて連絡用のメッセージアプリで亜澄とのやり取りを見直す、そしてカレンダーのアプリを開いて予定表を見直す……色々とやった。
けれど、これは現実だった。つねっても全然目が覚めないし、メッセージアプリには亜澄と待ち合わせ場所を決める時のやり取りを始めとしたデートの計画のメッセージが残っていたし、予定表も間違いなく今日の現在の時刻を指して、しっかりと『デート予定日』と記載されていた。
「うわーマジか……」
「どうしたんですか?」
「うわぁ?!」
横からの声に驚いて声を上げる。そのすぐ隣には亜澄がいた。
「ど、どうしたんですか急に大声上げて?」
「い、いやいや別に? そ、それじゃあこれから?」
「ええ、もちろん!」
そこからはあっという間だった。予定していたデートの場所は亜澄が全て提案してくれたもので、一箇所ずつ周っていっていた。
亜澄が一緒に見てほしいと言われた雑貨を取り扱うショップから、手ごろな価格で楽しめるフードショップまで、トントン拍子で進んでいった。どうやら、亜澄はこの手の計画の手際が非常に良いのか、順調に進んでいった。
「それにしても、結構色々見て回ってるけどいいのか?」
「どういう事でしょうか?」
「いや、結構行き場所の候補とか挙げてくれたし、準備大変だっただろ。……しかも俺が行きたい様な場所が多かったし」
亜澄はこちらの好みを把握していたのか、自分が良くいくタイプの店舗をいくつか挙げて、場所が近いから行ってみるか、と聞いてきたりまた、自分が少しは気になったけど行った事のない店舗がすぐ近くにあると行きましょうか、と言ってそのまま入って行ったり……なんだが、偶然にしては出来過ぎな場面もあった。
「あれ? そうだったんですか? 私イメージだけでいくつか候補の店を調べていたんですよ?」
「え、つまり偶然って事?!」
まさか、という話ではあったが。
碧人はそんな亜澄の行動力と事前の計画性に対し、素直に感心してしまった。ここまでやってくれるような人は……とても良いのでは?
碧人は同時にこうも思った。
せめて、出来るなりに自分も彼女の行動に応えたいと。
6
それからの日々といのは、あっという間だった様に思える。
彼女が出来る前の頃とは、彩りが違うというか。少なくとも、これまでより華やかな日々だったと思う。
亜澄はあのデート以降も積極的に色々な事をしてくれた。一緒に帰宅デートとか、一緒に映画を鑑賞しようと提案してくれたり、自分のために弁当を作ってきてくれたりとか。
ただ少し気になる事があるとすれば、キスをしてくれない。何故か、碧人がその事に触れると、まだ早い……かな、と少し顔を赤らめさせて断られた。
ここまで積極的にしてくれるのに、そういった……なんというか、大胆で少しハレンチなものがある様な事はビックリするほど、無かった。その上、未だに亜澄の家に上がらせてもらった事もない。
彼女の話を聞くに、亜澄はどうも一人暮らしを送っているそうだ。バイトもやっていると話していた事もあった。
何だか積極的に色々してくれる割に、どこか気になるような面があった。でも、碧人は別にそれでも良いと思えた。何故なら、積極的にアプローチをしてくれるような相手に拒絶なんてできなかった。
それに、そろそろこちらとしても何か彼女の行動に応えられそうなことができた。亜澄ほど、上手くはないけどこれをしてくれたら彼女は喜んでくれるはず……!
そうして、なるべく人の来ない学校の構内にある中庭で一人、その用意を見てニヤニヤとしていた。
こんな場面を誰かに見られたら完全に引かれるな……と思いながらも、やめられない。
「随分楽しそう……」
「うわぁ?!」
突然声を掛けられた碧人はビックリして少しバランスを崩しそうになったが、なんとか立て直した。
「きゅ、急になんだ?!」
「……ごめん。悪気はなかったんだけど……」
目の前には……誰かいた。誰かいた、としか言えないのはその相手が知らない相手だからだった。
身長は亜澄より小さい。結構小柄で、メガネをかけている。そして、女子用の制服を着ているので、女子で良いんだろう。
「……私、あなたに用があってきたんだけど」
「お、おう……せめて名前とか教えてくれないか?」
「……鏡」
「鏡?」
「……鏡、和名。これが名前」
いきなり、用があったからと言われも、面識のない相手からそんな用なんてできるものか……? 碧人はそんな、疑問が出ていた。
「最近、五木碧人っていう男子生徒が遠藤亜澄と付き合っているっていう話は聞いたの。多分、さっきの様子からすると、あなたが五木だよね」
「そ、そうだけど……」
けれど、これは現実だった。つねっても全然目が覚めないし、メッセージアプリには亜澄と待ち合わせ場所を決める時のやり取りを始めとしたデートの計画のメッセージが残っていたし、予定表も間違いなく今日の現在の時刻を指して、しっかりと『デート予定日』と記載されていた。
「うわーマジか……」
「どうしたんですか?」
「うわぁ?!」
横からの声に驚いて声を上げる。そのすぐ隣には亜澄がいた。
「ど、どうしたんですか急に大声上げて?」
「い、いやいや別に? そ、それじゃあこれから?」
「ええ、もちろん!」
そこからはあっという間だった。予定していたデートの場所は亜澄が全て提案してくれたもので、一箇所ずつ周っていっていた。
亜澄が一緒に見てほしいと言われた雑貨を取り扱うショップから、手ごろな価格で楽しめるフードショップまで、トントン拍子で進んでいった。どうやら、亜澄はこの手の計画の手際が非常に良いのか、順調に進んでいった。
「それにしても、結構色々見て回ってるけどいいのか?」
「どういう事でしょうか?」
「いや、結構行き場所の候補とか挙げてくれたし、準備大変だっただろ。……しかも俺が行きたい様な場所が多かったし」
亜澄はこちらの好みを把握していたのか、自分が良くいくタイプの店舗をいくつか挙げて、場所が近いから行ってみるか、と聞いてきたりまた、自分が少しは気になったけど行った事のない店舗がすぐ近くにあると行きましょうか、と言ってそのまま入って行ったり……なんだが、偶然にしては出来過ぎな場面もあった。
「あれ? そうだったんですか? 私イメージだけでいくつか候補の店を調べていたんですよ?」
「え、つまり偶然って事?!」
まさか、という話ではあったが。
碧人はそんな亜澄の行動力と事前の計画性に対し、素直に感心してしまった。ここまでやってくれるような人は……とても良いのでは?
碧人は同時にこうも思った。
せめて、出来るなりに自分も彼女の行動に応えたいと。
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それからの日々といのは、あっという間だった様に思える。
彼女が出来る前の頃とは、彩りが違うというか。少なくとも、これまでより華やかな日々だったと思う。
亜澄はあのデート以降も積極的に色々な事をしてくれた。一緒に帰宅デートとか、一緒に映画を鑑賞しようと提案してくれたり、自分のために弁当を作ってきてくれたりとか。
ただ少し気になる事があるとすれば、キスをしてくれない。何故か、碧人がその事に触れると、まだ早い……かな、と少し顔を赤らめさせて断られた。
ここまで積極的にしてくれるのに、そういった……なんというか、大胆で少しハレンチなものがある様な事はビックリするほど、無かった。その上、未だに亜澄の家に上がらせてもらった事もない。
彼女の話を聞くに、亜澄はどうも一人暮らしを送っているそうだ。バイトもやっていると話していた事もあった。
何だか積極的に色々してくれる割に、どこか気になるような面があった。でも、碧人は別にそれでも良いと思えた。何故なら、積極的にアプローチをしてくれるような相手に拒絶なんてできなかった。
それに、そろそろこちらとしても何か彼女の行動に応えられそうなことができた。亜澄ほど、上手くはないけどこれをしてくれたら彼女は喜んでくれるはず……!
そうして、なるべく人の来ない学校の構内にある中庭で一人、その用意を見てニヤニヤとしていた。
こんな場面を誰かに見られたら完全に引かれるな……と思いながらも、やめられない。
「随分楽しそう……」
「うわぁ?!」
突然声を掛けられた碧人はビックリして少しバランスを崩しそうになったが、なんとか立て直した。
「きゅ、急になんだ?!」
「……ごめん。悪気はなかったんだけど……」
目の前には……誰かいた。誰かいた、としか言えないのはその相手が知らない相手だからだった。
身長は亜澄より小さい。結構小柄で、メガネをかけている。そして、女子用の制服を着ているので、女子で良いんだろう。
「……私、あなたに用があってきたんだけど」
「お、おう……せめて名前とか教えてくれないか?」
「……鏡」
「鏡?」
「……鏡、和名。これが名前」
いきなり、用があったからと言われも、面識のない相手からそんな用なんてできるものか……? 碧人はそんな、疑問が出ていた。
「最近、五木碧人っていう男子生徒が遠藤亜澄と付き合っているっていう話は聞いたの。多分、さっきの様子からすると、あなたが五木だよね」
「そ、そうだけど……」