中学2年生になったぼくは、ほぼ毎日学校に通えている。体育は見学だし午前中の授業が終わったら早退することもあるけど、小学生の頃にくらべたらすごい進歩だ。
ルナは子犬の頃は黒かった毛が、キラキラと艶のあるグレーと薄い茶色に変わった。
体も大きく重くなったのに、相変わらず寝ているぼくのおなかの上に乗ってくる。苦しくて目が覚めちゃうからやめてほしいんだけどな...
朝起きると、珍しくルナがとなりにいなかった。探しに行くとケージの中で一生懸命おなかを舐めている。
「どうしたの?おなかかゆい?」
『クゥーン』と鳴いてぼくの前に来ておなかを見せた。
小さかった皮膚炎が、大きく真っ赤になっている。
「お母さん、ルナの皮膚炎がひどくなってる!」
「えっ!それじゃあ午前中に動物病院へ連れていくわね」
「うん」
「奏太はもし調子がよくないと思ったら無理しないで帰ってきなさい。ルナが心配でストレスがかかったら、心臓にもよくないから」
本当はぼくもルナと一緒に行ってあげたいけど、そのために学校を休むわけにはいかない。
「ルナ、ちゃんと診てもらってくるんだよ」
ルナの頭をなでていい子にするように言い聞かせ、ぼくは学校へ向かった。
「だいぶおなかがかゆいみたいで、ずっと舐めているんです」
「あらら、結構炎症が広がっていますね。まず炎症を抑える薬を1週間飲ませましょう。かゆみ止めの薬も出しておくので、どちらも1日1回、夜に一緒に飲ませてください」
飲ませ方の説明書も入れておいてくれるそうだ。
「舐めると炎症がひどくなってしまうので、エリザベスカラーをつけましょう。視界が狭くなるので、どこかにぶつからないように出来るだけ様子を見てあげてください。1週間後にもう1度診せてくださいね」
ピンクのエリザベスカラーをつけてもらい、診察は終了した。
「ただいま。ルナはどうだった?」
ルナが玄関まで走ってきて、ぼくの足に飛びつこうとして思いきりぶつかった。
あ、これ、本で見たエリザベスカラーってやつだ。
「おかえり。着替えたらこっちに来てね」
「いたた...ルナがぶつかってきたよ...」
「視界が狭くなるからぶつからないように様子をみてあげて、って獣医さんに言われたわ」
「そうかぁ、出来るだけ見てるようにするよ」
お母さんから診察の時のことを聞いて、薬を受け取った。飲ませ方は本で読んで知ってたから、どれがルナに合う飲ませ方か、1つずつ試してみよう。
どっちも小さな錠剤だったから、1粒ずつおやつの中に隠して食べさせた。小さめのおやつなら丸呑みするからこれで大丈夫そうだ。
「早くかゆみが取れるといいね」
『ワン!』
やっぱりルナはぼくの話を理解してるんじゃないかと思う...
1週間後、お母さんがルナを動物病院へ連れて行ってくれた。
「炎症は治まっていますね。今日からかゆみ止めの薬だけにしましょう。1ヶ月分出しておくので今まで通りに夜飲ませてください。エリザベスカラーは1週間後に1度外してみてください。まだ舐めてしまうようならもう1度つけてくださいね。また1ヶ月後に診せてください」
学校から帰るとルナの様子を教えてくれた。
「薬が減ってよかったね。エリザベスカラーも早く取れるといいな」
『ワン!』
やっぱり返事、してるよね...
1ヶ月後の診察の時には、無事エリザベスカラーなしの生活に戻っていたけれど、かゆみ止めの薬はたぶんずっと飲み続けることになると言われてしまった。
「はじめからそうなるかもって言われてたし、ルナ自身はおやつをもらえるわけだし、あんな小さな薬1つでかゆみもなく快適に過ごせるんだから、どうってことないだろ」
「でも、薬代とか高いよね」
「そんなの、奏太が心配することじゃないよ。奏太とルナが元気に過ごせるようにするのがお父さんとお母さんの仕事なんだ」
「そうよ。子どもがお金の心配なんかしなくていいのよ」
「うん。ありがとう」
お父さんとお母さんは、いつもぼくのことを大切に思ってくれている。
ふたりの子に生まれて本当によかったと思う。
ルナは子犬の頃は黒かった毛が、キラキラと艶のあるグレーと薄い茶色に変わった。
体も大きく重くなったのに、相変わらず寝ているぼくのおなかの上に乗ってくる。苦しくて目が覚めちゃうからやめてほしいんだけどな...
朝起きると、珍しくルナがとなりにいなかった。探しに行くとケージの中で一生懸命おなかを舐めている。
「どうしたの?おなかかゆい?」
『クゥーン』と鳴いてぼくの前に来ておなかを見せた。
小さかった皮膚炎が、大きく真っ赤になっている。
「お母さん、ルナの皮膚炎がひどくなってる!」
「えっ!それじゃあ午前中に動物病院へ連れていくわね」
「うん」
「奏太はもし調子がよくないと思ったら無理しないで帰ってきなさい。ルナが心配でストレスがかかったら、心臓にもよくないから」
本当はぼくもルナと一緒に行ってあげたいけど、そのために学校を休むわけにはいかない。
「ルナ、ちゃんと診てもらってくるんだよ」
ルナの頭をなでていい子にするように言い聞かせ、ぼくは学校へ向かった。
「だいぶおなかがかゆいみたいで、ずっと舐めているんです」
「あらら、結構炎症が広がっていますね。まず炎症を抑える薬を1週間飲ませましょう。かゆみ止めの薬も出しておくので、どちらも1日1回、夜に一緒に飲ませてください」
飲ませ方の説明書も入れておいてくれるそうだ。
「舐めると炎症がひどくなってしまうので、エリザベスカラーをつけましょう。視界が狭くなるので、どこかにぶつからないように出来るだけ様子を見てあげてください。1週間後にもう1度診せてくださいね」
ピンクのエリザベスカラーをつけてもらい、診察は終了した。
「ただいま。ルナはどうだった?」
ルナが玄関まで走ってきて、ぼくの足に飛びつこうとして思いきりぶつかった。
あ、これ、本で見たエリザベスカラーってやつだ。
「おかえり。着替えたらこっちに来てね」
「いたた...ルナがぶつかってきたよ...」
「視界が狭くなるからぶつからないように様子をみてあげて、って獣医さんに言われたわ」
「そうかぁ、出来るだけ見てるようにするよ」
お母さんから診察の時のことを聞いて、薬を受け取った。飲ませ方は本で読んで知ってたから、どれがルナに合う飲ませ方か、1つずつ試してみよう。
どっちも小さな錠剤だったから、1粒ずつおやつの中に隠して食べさせた。小さめのおやつなら丸呑みするからこれで大丈夫そうだ。
「早くかゆみが取れるといいね」
『ワン!』
やっぱりルナはぼくの話を理解してるんじゃないかと思う...
1週間後、お母さんがルナを動物病院へ連れて行ってくれた。
「炎症は治まっていますね。今日からかゆみ止めの薬だけにしましょう。1ヶ月分出しておくので今まで通りに夜飲ませてください。エリザベスカラーは1週間後に1度外してみてください。まだ舐めてしまうようならもう1度つけてくださいね。また1ヶ月後に診せてください」
学校から帰るとルナの様子を教えてくれた。
「薬が減ってよかったね。エリザベスカラーも早く取れるといいな」
『ワン!』
やっぱり返事、してるよね...
1ヶ月後の診察の時には、無事エリザベスカラーなしの生活に戻っていたけれど、かゆみ止めの薬はたぶんずっと飲み続けることになると言われてしまった。
「はじめからそうなるかもって言われてたし、ルナ自身はおやつをもらえるわけだし、あんな小さな薬1つでかゆみもなく快適に過ごせるんだから、どうってことないだろ」
「でも、薬代とか高いよね」
「そんなの、奏太が心配することじゃないよ。奏太とルナが元気に過ごせるようにするのがお父さんとお母さんの仕事なんだ」
「そうよ。子どもがお金の心配なんかしなくていいのよ」
「うん。ありがとう」
お父さんとお母さんは、いつもぼくのことを大切に思ってくれている。
ふたりの子に生まれて本当によかったと思う。