実家暮らしやめたら結婚できた話

★女性参加費無料★
①43歳(会社役員)
→七三分けの眼鏡スーツの普通のオジサン。このときの参加者の中では最年長。一見真面目そうなこのオジサンは、自営業で建築会社の次期社長。開口一番、「こういうイベント参加するの何回目ですか?」と聞いておいて、「僕は3回目なんですよー」とダラダラ脈絡のない話を続ける。1分間これで終わって次の人と話したいなと思ってたら「あ、29歳ですか。若いですね。今日参加してる人は30代が多いから、若い人がいてよかった」と喋ってそのまま時間切れ。
男性陣が順番に動いて回る回転寿司形式のトークタイムが終わり、2回目と3回目は椅子取りゲーム形式、かぶったらじゃんけんで順番を決めて話すという争奪戦。このオジサンとは特に話題もないので適当に相槌打ってたら、2回目も3回目も我先にとやってきて、他の男性陣を蹴落とす勢いで高速ジャンケン(しかも強い。次も勝ってた)、対戦した男性から引かれてた。
心なしか息も乱れ、暑さのせいか少々汗ばんでいる。その後も「若くていいですねー」「自分は年いってるせいか誰も相手にしてくれなくて」「今は親父が社長だけど、ゆくゆくは僕が後を継ぐのでまあ、次期社長ですね。奥さんには経理とか手伝ってもらえるとありがたい。子どもはいてもいなくてもいいけど、親には早く孫の顔見せろってうるさく言われるもんだから」
親に言われて婚活?てか、親のために結婚するって姿勢に色々と疑問が。そして終了間際、「これ、僕の連絡先なのでよかったら連絡ください」とこっそり渡された紙切れ。よく見たら、何かの書類の端切れっぽい。経営者ですよね?
100歩譲って名刺忘れたとか切らしてるとかだったとしても、書類破ってそれを相手に渡すってどうなん?プロフィールカードに付属のアピールカード付いてるのに(気づいていないだけかもしれないが)。
でも、意外と字は綺麗。走り書きに見えないくらいの綺麗な字が書けるのなら、こういうところで台無しにするのはすごくもったいない。いずれにしてもこのオジサンには何度アピールされても興味がわかず、いただいた連絡先は即処分(会場内のゴミ箱。パッと見ゴミだったから誰も見ないだろうという私もかなり性格歪んでいた)。
②36歳(公務員)
→名古屋で一人暮らしをする市の水道課職員。少し明るめの茶髪にメガネ、一見ヨ○様にも見えるインテリ系の男性。出身大学は有名国立大学とかなりの高学歴。穏やかな口調で、知的な印象。上記のオジサンの存在など霞んでしまうくらい後光がさして見えた。当然の流れのようにあっさりマッチング。日を改めて食事に行きましょうという話になった。当時実家暮らしをしていた私は、一人暮らしの人に憧れてその話題も振りながら情報収集。「男の一人暮らしなんて味気ないよ」「まあ、気楽だしやってみるのはいいことだと思う。ただ、女の子だと親が過度に心配性な場合はハードル高いかもね」と冷静に淡々と話す彼。
婚活パーティーに参加してみていい出会いはありました? と思い切って聞いてみた。
「ああ、あったよ」とすんなり。
「いいなと思う女性は去年くらいに出会って、いい雰囲気になってきたから僕から思い切って告白したんだけど……ふられてしまって……」
しゅん、と肩を落として今にも泣きそうになる彼。やばい、このままだと私が泣かしたみたいになる。
「でも、思いはちゃんと伝えられたんですよね?結果がどうあれ、伝えられたのはよかったですよ。次の恋に進めるチャンスをもらえたってことです。はっきりされないまま終わる、というか、終わりすらはっきりしないで自然消滅するほうが何かモヤモヤしません?」とその場を取り繕うように私が言うと、
「可憐さんは、忘れられない人いないんですか?」と痛いところを突かれた。
「そりゃあ、いますね。はい」
「次の恋進めました?」
「うーん、すぐには無理ですね」
「でしょ?」
でしょ?って……。
「でも、どこかで区切りつけないと。ずっとこのままなのは嫌だと思って始めたのが婚活なんで。まあ、可憐さんはまだ若いからこれからチャンスたくさんあると思います。僕はもうギリギリなので」
「はあ……」
何となく湿っぽい空気に。
お互いに忘れられない相手がいるとわかってしまった以上、どういう展開に話を持っていけばいいものか。
完全に話題迷子。詰んだ。

「そろそろ出ますか。もう遅いし」
「ですね」
「今日はありがとうございました」
「いえ、こちらこそ。わざわざ遠くから来ていただいてーー」
「あ、今日のお代だけど」
「あ、はい」
「2000円でいいよ。後は僕が払うから」
「え」
「遠慮しないで」
いや、遠慮も何も。
二人で4300円って、ほぼ割り勘やんけ。
「ご、ごちそうさまです」
「どういたしまして。気をつけて帰ってね」
悪い人ではなかったが、何となくモヤモヤ感が払拭できない人だった。
婚活って、難しい。マッチング自体は簡単。でも、それにあぐらをかいていると肝心なその先の展開には至らないんだなと実感。
私の暮らす県内のとある市主催のイベントで、恋愛・婚活関連の無料セミナーが開催されることになった。そこに講師として派遣されたのは、恋愛コンサルタントのKさん。
私は過去に一度電話相談をしたことがあり、その時に今回のセミナーの案内を受け、参加を決めた。そして、この日Kさんと直接会うのは初めてだった。Kさんを知るきっかけになったのは、一冊の本だった。そこからブログに飛び、「やべぇ、めっちゃ面白い! しかもわかりやす!」とドハマリ。喝を入れてもらおうと思い2時間の電話相談に申し込んだのがきっかけだった。
今思えば、彼女に出会わなければ、私は結婚どころか自立すらできなかったかもしれない。なぜなら、恋愛相談のつもりで申し込んだのに、「実家を出て一人暮らしした方がいい」と言われ、「?」になった。
「でも、これまで何度出ようとしたけど反対されて……」と言おうものなら、「もう親の許可がいる年齢じゃないでしょ? 自分のことなんだから、自分で決めないと。第一その歳でまだ親と一緒に住んでるってやばいよ。結婚する予定があるならまだしも、彼氏すらいないなら尚更 。自立していない女がいくら着飾って婚活に奮闘したところで、本気で結婚したいって思ってもらえると思う? 自分がもし選ぶ立場なら、今の自分と結婚したいって思う?」と自立を促される。
これが私にとっては一番の特効薬だった。
その2年後に私は実家を出て一人暮らしを実現させたのだが、やってみると案外簡単にできるものだと知った。
そしてKさんと初対面。
「可憐さん? 嘘! こんなかわいい子だとは思わなかった!」
どんな子だと思われてたんだろう、と疑問は残ったが、セミナーはくじで決めたテーブルについて約2時間のうち1時間は各テーブルごとにディスカッションするという形式だった。レジュメを配られ、Kさんが解説をする。
そして、演習スタート。
「次の三人の女性をデートに誘うとしたら、マック・モスバーガー・おしゃれなカフェ、どこに連れていきますか? それぞれ違う場所を当てはめて」
①眉毛とチークだけつけた顔、髪は後ろで一つにまとめ、カーディガンはすべてのボタンを留めている女性
②ギラギラしたアイシャドウ、細いつり上がった眉毛、口紅はヌーディーなベージュ、ひらひらのスカーフみたいな襟の付いた派手な柄のブラウスを着た女性
③前髪を横に流し、毛先は緩めの内巻きにカール、優しい緩やかなカーブの眉毛、控えめなアイシャドウにほんのり色づいたチーク、薄付きのファンデ、清潔感のあるブラウスにジャケットを着た女性
モデルはすべてKさん。体張ってここまでやるのは相当な気合いと根性、情熱がないとできない。
「同じ女性でも、メイクや服、表情でこんなにも印象が変わるということがわかると思います。ちなみに、今の自分はどの女性のパターンですか? これは男性にも同じことが言えます。自分は選ぶ立場なんて思い上がってたら、誰からも選ばれません」
★恋愛婚活無料セミナー★
①36歳(電気関係、高卒)
→寝起きみたいなボサボサ頭、眼鏡にスウェット風の毛玉だらけのダボッとした服、口を開けるたびに漂う悪臭。とにかくクサい馴れ馴れしい太めの男。セミナーの途中に他のテーブルから人数調整のため移動してきた。相当クサかったので、椅子を少しずつ下げて臭いが気にならないくらいの位置で固定してたら、前のめりになって話しかけてきたので蹴飛ばしそうになった。
話していても「俺見た目とか気にしないからこだわる理由がわからん」とか、「マックでいいやん。気軽に行けるほうがこっちも楽やし」「これ何の意味があるの? やってる意味がよくわからんし、つまらんよね。帰りたくなってきた」「それより他の婚活パーティー行ってたほうが楽しい」等デリカシーのないことをベラベラ喋り倒すばかりで、グループ内のディスカッション中も終止浮いていた。
帰り際、私が別の参加者と話していたら急に割り込んできて「俺県内の婚活パーティー全制覇した」と謎の自慢をしてきた。制覇ってどういうことか聞いてみたら、「参加したことがある」だけだった。しかも、「〇〇市のイベントは料理付きで楽しかった。パンフレット持ってるからあげようか?」と悪臭漂わせて近づいてきたので「要りません」と鼻から下を手で覆い隠しながら突っぱねた。
別の意味で強烈な男だった。
②34歳(フリーター?、高卒)
→帰り際に駐車場で声をかけられた。違うテーブルだったが、一見どこにでもいそうなフツメン。少しやんちゃしてる感じは出ていた(車が改造車っぽい)。職業は不明だが、「バイト」と言っていたような気がするのでフリーター扱い。またこの彼も「??」となるほどぶっ飛んだ思考で話がまるで噛み合わなかった。
「婚活パーティーに来る人は結婚を考えた真面目な人ばかりだから100%安全」「よかったら今度〇〇市のイベントに一緒に参加しませんか?」と。
私が、「そういうイベントに誘うのっておかしくないですか?カフェとかレストランならわかるけど」と突っ込んだら、「そんな怖いことできない」「だってイベントの中のほうが安全じゃないですか?」「騙されたりするかもしれないじゃないですか」と謎の警戒。そんなんで今まで成果あったのか聞いたら「もちろんあります」と自信満々に答えた。聞くと、「僕が友達誘ったら、その友達が見事にマッチングして、その後付き合うことになりました」云々。
多分友達の恋の成就のきっかけを作ったことを自慢したいのかもしれないが、私が聞きたいのはそういうことではなくてだな。
「だから、婚活パーティーは安全安心なんですよ」
頭がおかしくなりそうで、これ以上関わりたくなかったので「そうですね」と流したら、「でしょ? だから一緒に参加しませんか?」とまるで話が通じない。
「遠慮します。その先なさそうなので」
「え、何でですか? 出会いのチャンスがたくさんあるんですよ」
そのチャンスをみすみす棒に振り続けてることになぜ気が付かんのだろう。
「えー、もったいない。絶対来たほうがいいのに」
絶対行かないほうがいいと本能が叫んでるからいきません。
上記の2名について、後でKさんに報告。
「えー! てっきり連絡先交換でもしてるのかなって思ったのに、そんなことが起こってたんだ。何のために来たんだろう……ヤバいね、その二人」
ですよね。
婚活を始めて半年足らずの出来事。
婚活の底なし沼を垣間見たような気がして、一刻も早く彼らと同じフィールドから抜け出したい、という感情が湧いたことも、ある意味婚活のモチベーションになったように思う。
県内に住んでいる以上、どこかの会場で再会するリスクを考えると、手当たり次第に参加しまくるのは危険だと思い、この頃からパーティーに参加する回数を減らし、絶対に参加しなさそうな内容のところを選んで行くようにした。
後日談。この二人ではない別の男性参加者が、イベント当日にある女性に連絡先を聞いたら断られたと憤慨。彼が電話をかけたのは、主催した市の担当課。
「気になる人の連絡先を聞いたら断られた。お前らのサービスが行き届いていないせいだ。こっちは税金払ってやってるんだからもっと市民へのサービスを充実させろ。全然婚活支援になっていない」
とかいう文句を延々と言っていたとKさん経由で聞いた。
「自分のせいだって自覚ないなんて、ヤバい通り越して呆れ果てるよね。市役所の人可哀想すぎる……。お客さま感覚でよく結婚相談所にも『自分を結婚させてみろ』って煽る○○もいるけど、無料でここまでしてもらっといてうまく行かないからって人のせいにするなんて、結婚どころか人としてどうなのって感じ……。私、何のために行ったんだろう。悲しいわぁ」
「うわあ……。しかも税金払ってやってるって謎の上から目線。 そもそも納税は国民の義務だって知らんのですかね。何て身の程知らずな……。」
「〇〇市だけにね」
「ですね。Kさん、私絶対婚活成功させます」
「うん、頑張って。これからいろんなおかしなやつがいっぱいいると思うけど、負けずに納得のいく相手見つけて」
身の程知らずな婚活難民にだけはなりたくない。業界用語では「不良在庫」というらしい。なるほど。
そして、舞台は次のステージへ。
婚活パーティーは効率が悪いことを悟った私は、マッチングアプリに登録した。
婚活パーティーは、参加回数も増えれば出会う人も増える。単純にそう考えていた私は、同じ人に3回「初めまして」と言われ気づいた。
参加者の「常連化」。また会いましたね、と微笑ましく穏やかにすめばまだいいが、婚活パーティーという手前、心穏やかにそうなるどころか「気まずさ」の方が勝り、気づいた時点で一刻も早く帰りたくなる。
こういう状況で覚えられているのは癪だが、こちらが覚えているのに目の前の相手は全くそんな素振りもなく「初めまして」を毎回通すのはある意味プロだと思う(本気で忘れている場合は除く)。そういえば今書きながら思い出したが、例の婚活パーティーで3回会って3回とも初めましてと言ってきた男は、トークタイム中もずっと質問ばかりしてきた。こちらが答えている最中も次の質問をしてきて、全く人の話を聞かない顔がゴリラみたいな37歳の男だった。シャ○ーニの方が遥かに優良物件だと思った。
しかも、終了の合図がかかっているのに一人だけずっと喋り、司会の人に声かけられるまで止まらず。この時間無駄すぎると思った私は、アプリならこういう心配なく会いたいと思った人とだけ会えるのではと考えた。ちょっと本気出してみるか、と3ヶ月間だけの有料会員登録をした。すると、新規会員のメリット。物珍しさから「いいね!」の連続。
一人ずつプロフを確認し、良さそうな人にいいね返しをしてマッチング成立。となるつもりが、間違えて別の人にタップしてしまうことも何度かあった。その中でも特にヤバイのをいくつか挙げてみる。
★ゼ○シィ縁結び★
①34歳(職業忘れた)
→間違えてタップしてしまい、プロフをしっかり読む前にマッチングしてしまった第1号。マッチング成立後、秒でメッセージが来た。
「初めまして。名古屋にお勤めなんですね。よかったらLINE教えてください。アプリでやるの面倒なんで。」
いきなりLINE聞かれた。
しかも、私は名古屋に勤めていない。
プロフ読むのも面倒だから適当にいいねしまくって数撃ちゃ当たる戦法でお手軽な女を探していると見た。
「私は名古屋に勤めていません。誰かと間違えてませんか?プロフもろくに読まずに連絡先だけ聞いてくるなんて非常識です。気分悪いので二度とメッセージ送ってこないでください」
怒りに任せ私も秒で返したら、本当に二度とメッセージが来なくなった。かと思ったら、ほどなくしてすぐ退会していた。まあ、私も相手のプロフ読みしていないが。それに読もうとしたら、もう退会していて読めなかった。変わり身の速さだけはすげえなと思った(ブロックされただけかもしれないが)。
②77歳(無職)
→興味本位で最高齢の利用者は何歳かと検索したらこのじいさんが出てきた。プロフの写真は、病室みたいなところで誰かに撮ってもらったであろう横顔が写っていた。
自己紹介欄には「昼間ならいつでも会える。車ないから迎えに来てください」と一言だけ書いてあった。別のお迎えのほうが先に来そうだなと思ったが、この年齢で婚活アプリを使いこなしているのに驚いた。
③31歳(設計)
→間違えてタップしてしまった第2号。彼からのメッセージは、「いいねありがとうございます。自分は子どもいらないので作る気ありませんがいいですか?」だった。よくないです、ごめんなさい。スルーさせていただいた。プログを見て察してくれ。スマン、子無し希望の青年。
④29歳(休職中/精神疾患、発達障害あり)
→一方的にメッセージが届いた。プロフを見ると、大学院卒で英語、スペイン語、韓国語など5カ国語が話せると書いてあった。その他、発達障害(軽い自閉傾向あり、ADHD、アスペルガー症候群)、統合失調症もあり、仕事も続かず辞めてしまった。社会に復帰したいが、精神的に不安定になりやすく、そばで支えてくれる人に出会いたいから登録したと延々と自分の病について書かれていた。私は大学で心理学を専攻し、臨床心理学の分野を専攻していたため、「プロフを見て僕のことをわかってくれる人だと思った」「お願いです。僕を苦しみから救ってください」「このまま誰からも愛されない人生なんて辛すぎます」「死んだほうがいいんでしょうか?」「僕も人並みに恋愛して結婚して、普通に生きたいんです」とまるで人生相談のようなメッセージが。「私ではあなたを救うことはできないので、専門機関に相談したほうがいいですよ」と送りブロックした。
⑤42歳(小学校教員)
→マッチング成立した途端、「よろしければ直接やり取りがしたいので連絡先を教えてください。私のアドレスは〇〇です」とメールアドレスが記載されて送られてきた。少し抵抗があったが、この人とは実際に会うところまで行った。実際に会った時、「〇〇(私の本名)というんですか?」と聞かれ、ドキッとした。名前を教えた記憶はない。当時、Gメールの名前表記が本名になっていたことに気づかず、慌てて変えた記憶が蘇った。電車でわざわざ私の住む家の近く(最寄りではない)まで来てくれたが、開口一番「結婚についてですが、いつまでにしたいとかありますか?」「子どもは好きですか?」「両親と同居は可能ですか? 別居希望ですか?」などガンガン質問された。悪い人ではなさそうだが、焦りが垣間見えて面倒になり、「結婚は今すぐしたいというわけではないです」「できれば地元で生活したいです」と譲れないところはより強調してアピールし、相手の希望条件から外れるような答えを心がけた。この人とはこれっきりになったが、貴重な時間を奪って申し訳なかったな、と初めて罪悪感を覚えた相手だった。
⑥29歳(IT関係)
→アプリを始めて一番最初に会ったメンズ。年下でも初めからタメ口だったのは気になったが、気さくでフレンドリーな人なのかなと思い、とりあえず会うことになった。比較的家が近く、実はジモティーだったという話で盛り上がり、会う前はちょっと楽しみにしていた。が、実際に会ってみて驚愕。写真と全然違う。「黒髪の黒縁メガネにビール片手に料理を頬張る写真」をプロフにのせていたが、実際はイガグリ坊主頭の無精髭を生やしたちょいデブ。本人かどうかの確認をしようか迷ったくらい違和感がすごかった。イタリアンの店を予約してくれていたのはまだ良かったが、話をしていく途中でだんだん人が変わったように「ああ」「ふーん」「やべえ」「とりあえず帰る? あ、4000円でいいわ、あとは俺出す」と面倒くさそうな感じに。モヤッとした気持ちを払拭できないまま、このメンズとは連絡先交換することもなく切れた。今思えば、4000円ってほぼ払わされた可能性が。伝票は見せられなかったし、会計の時そばにいないほうがいいと思ってお金だけ渡して支払い任せたからか。高い勉強代になった。
アプリの月額料金より高いお金請求されたら危ないと思った方がいい。
★ブ○イダルネット★
ゼ○シィ縁結びだけではイマイチ成果を感じにくかったので、とりあえず無料会員登録からできるアプリもスタートした。
このアプリでは、Twitterのように日記を更新するとトピックスに上がり、プロフ紹介だけでは見えない会員の日常が垣間見えるといった特徴があった。試しに私も投稿。
新規会員効果で、いいね!の嵐。日記から辿ってメッセージやいいね!をくれる人が結構いた。その中で、特にヤバいと思った会員を挙げてみる。
①34歳(休職中)
→人の縁結びの架け橋になりたいと思い、仲人業を夫婦でやりたいという夢があるとプロフに綴られていた。どこから突っ込もうか。
まず、休職中というのは職場の人間関係がうまく行かず、鬱を発症し休んでいるとのこと。カウンセリングを受けながら徐々に回復してきたので、もっと人のためになる仕事がしたいと思ったらしい。
次に、自分が婚活を成功させた暁には、その経験を活かして成婚に結びつくような結婚支援ができると思うので、一緒に結婚相談所業務をやってくれる奥さんがほしいとのこと。
最後に「自分自身が恋愛経験ないので、女性とどう関わっていいかわからない。婚活に躓く人はそういう人が多いだろうし、そういう人の気持ちがわかるという強みがある。そのためには自分の婚活を成功させ、勇気を与えられる存在になりたい」と。
志だけは立派な青年だが、現状が伴わない誇大妄想タイプで、勘違いが甚だしいいわゆる事故物件であることは間違いない。せめて婚活成功させてから語れよと思わざるを得ない無理ゲー感満載の会員だった。
しかも、相手女性に求める条件が限定的でかなり視野が狭い上に、相手の人生を背負うどころか自分の夢の実現のために必要なツールとしか考えていない神経が理解不能。こんなのと結婚するメリットがどこにあるというのか。あれから5年経った今、この人は果たして夢を叶えることができたのだろうか。それとも、今もなお会員でいるのだろうか。
②35歳(会社員/高卒)
→日記の更新が一日に5〜6回くらいの暇人感満載な自称・優男。
デートに誘うことに成功したが、当日相手の女性に途中で帰宅されたことに対する愚痴を延々と投稿していた。内容は、
「俺はこの日のために完璧なデートコースを計画した。ランチを済ませたら彼女が見たいと言っていた映画にいき、夜はおしゃれなイタリアンのレストランで過ごす。そのためにチケットを事前に購入し、昼と夜用にレストランも予約し準備万端で臨んだ。なのに彼女はお腹が痛いと言ってレストランに入って20分足らずで席を立ち、トイレから戻らない。『このあと映画の予定でそろそろ出ないと間に合わないから早く戻ってきて』とLINEしたら、『今日はもう無理なので帰ります、ごめんなさい』と一言。こんな仕打ちあるか?せっかく前売り券まで買ったのに、しかもレストランでディナーまで予約したのにキャンセル料も取られて踏んだり蹴ったり。騙された。35の女なんて所詮結婚に焦ったオバサン。マジ金返せ」等。
案の定、炎上していた。女性会員の怒りの投稿の中には、
「お前が言える立場じゃねえだろ」
「本当に体調悪かったかもしれないのに、体調気遣うどころか急かすなんて人として最低です」
「勝手に一人で盛り上がって自爆してるだけでしょ?自業自得」
「てか完璧なデートコースって、本当に相手が望んだものなの? 自分に酔ってるだけじゃん。ウケるwww」
「初対面でその内容は重すぎて疲れる。私でも帰るわ」
「御愁傷様としか言えない」
「は?キモ! 完璧だったら既に結婚できてるはずじゃね?」
「被害者面する時点で無いわ。一生妄想してれば?」
とボロクソ言われてた。しかも大半が20代女性。これだけ言われて悔しかったのか、「ガキのくせにギャーギャーうるせえよ。ブス共が」と逆ギレ。しまいには30代の女性から、「自分より若い子たちに正論言われて逆ギレするのはどうかと思います。そんな幼稚な男性と結婚するメリットはどこにもないですもんね。早々に帰った女性が正しいです」と一蹴。さらに彼は「うるせえ、ババアは引っ込んでろ」と荒れに荒れまくった。
そこに私も便乗し、「そのデートコースは、たとえ付き合っていたとしても苦痛です。付き合ってもいない相手に長時間拘束される身にもなってみては? ただ迷惑なだけじゃないでしょうか。ましてお腹が痛ければなおさら」と投稿。そしたら、「すいません、自分のことでいっぱいになってました。最低ですね、俺」といきなりトーンダウン。その後、本当にすいませんと平謝りの投稿をするこの男。次の日の投稿を見たら、「どうせ自分はモテない」「イケメンに生まれたかった」「死にたい」と超ネガティブな投稿内容になっていた。反省したのか色々言われたことが余程堪えて自信をなくしたのか定かではないが、己を自称するやつほど自分をわかっていない上に聞く耳を持たない連中が多い。よって、これ以上かかわるのは面倒なのでスルーした。
③32歳(会社員/中卒)
→自称・ジャニーズ系のイケメン。でも、プロフ写真がないカオナシ。投稿内容には、
「ブスは恋愛すらろくにできない気の毒なやつ」「見た目より中身が大事なんて嘘。それでも女はイケメンに群がるし、男だってブスな女より美人がいいに決まっている」「ここの女顔面偏差値低すぎる。退会しようかな」という失礼極まりない投稿ばかり。それも当然炎上。
「ならとっとと消えてください」「お前顔に自信ある割にカオナシじゃねえか。顔写真上げてから言えよ。どうせブサイクなんだろ?」「自分でジャニーズ系のイケメンってその歳で言えてしまうところが痛い。でも自称なんだよね」「顔面以前に頭の偏差値低いお前に言われる筋合いないわ。やる気ねえなら辞めろよ。気分悪い」と荒れまくる。顔写真ない人は結構いるが、写真無しでここまで自分イケメンアピールしといて会員女性をブスブス言うのは初めて見た。これだけ荒れても運営が対応しないのはヤバいと思い、治安の悪さ=会員の質の悪さと考え、私は早々に退会した。一瞬でも有料会員になってしまったのが残念でならない。
なかなか強烈な珍獣や宇宙人との出会いを経て、いよいよ私の婚活はクライマックスヘ。
うまく行きそうだった人に「重い」と言われたり、急に連絡が取れなくなってしまったりと思いの外難航する婚活に、メンタルが悲鳴をあげ始めていた。
婚活疲れ。自暴自棄になり、アプリを開く気力すらない日もあったが、塞ぎ込んだら余計にモチベーションも下がる一方。一旦、婚活から離れようと趣味に没頭したり、ショッピングを楽しんだり、某公園の薔薇を見に行ったりしながら過ごした。5月の連休明けくらいに、「結婚はまず置いといて、とりあえず茶飲み友達探す感覚でやってみるか」と、試しに気になっていたP○ARSに登録してみた。登録者数は他の婚活アプリよりも圧倒的に多く、しかも無料で利用できてしまうのは金欠な一人暮らしの非正規雇用にはありがたかった。
★P○ARS★
→当時は男性は有料、女性は登録無料、オプション(いいね!を送るハートの数など)課金制だった。私は本当にいいと思った人にしかいいね!を押さず、基本は検索やプロフの熟読をしていた。P○ARSでは、前述のような強烈な輩は目立たなかったが、同じ職場の同僚2名、大学時代のサークルで交流のあった他大学の同い年の元彼(後にストーカー)の友人らがいて、慌ててブロックした。
結婚は置いといてとはいったものの、最終的にそうなった場合のことを考えてジモティー限定で探すことに。そこで夫を見つけたのだが、夫はいわゆるフツメンで、特にこれといったものもなく、当初はただ飛行機が好きで航空機の製造業に就いているんだくらいにしか思っていなかった。それでも、私からいいね!を押した理由は夫のプロフの最後の一言だった。

「皆さんに良い出会いがありますように」

今思えば、これが決め手だったのかもしれない。今までの婚活を振り返っても、自分を含め自分の幸せを第一に求める人ばかり。なのに、彼は“自分以外の人”の幸せを願うフレーズで自己紹介を締めくくっている。
ああ。彼はただのフツメンではない。誰より幸せになりたいと願う群衆の中に埋もれた、誰よりもピュアな原石だ。
いいね!をしたら、すぐに「いいねありがとうございます」とメッセージが来た。
数日メッセージをやりとりし、夫の方から「直接会って話したい」と誘われランチをすることに。
当日、お互い遅刻をし、2軒目のカフェで6時間喋り倒すというマイペースぶりを発揮。その後、「僕でいいんですか?」「いいよ」で交際がスタート。私の長い長い婚活に終止符を打ったのは、2つ年下の飛行機大好きなプラモデラーだった。そして出会いから約1年後には婚約、その半年後に結納、年明けに入籍とトントン拍子。唯一予想外だったのは、コロナの流行で籍を入れてから1ヶ月後に予定していた結婚式を一年延期することになったこと。まさか一年の間に3回も延期することになろうとは。4度目の正直で漸く叶ったものの、それまでのモチベーション維持や双方親族の意見のすり合わせ、もどかしさ、怒り、悲しみの連続で心が何度も折れそうになった。結婚式を挙げたらすぐに妊活したいと思っていただけに、式の延期は当時34歳だった私にとっては死活問題。35歳までに第一子を授かりたかったが、式の延期によりそれは叶わず。いずれにしても、私の子宮に問題があったため、治療は結婚式が終わってからスタートすることになった。術後2ヶ月、念願の第一子を妊娠し36歳の時に息子が生まれた。2023年9月現在で1歳3か月になる。
一つ一つ乗り越え、実家を出て一人暮らしを始めたら結婚し、更には母になった私。
実家を出るとき、結婚だけは絶対に自分の好きな人としたいと決めていた。なぜなら、母は私が長女だから跡を取るのが当たり前。長男以外の公務員にしろとかずっと私に言い続けていて、私の妹が結婚してから流石に焦ったのか(妹は市役所職員で、同じ職場で出会った私と同い年の当時の広報課職員と結婚した)、私を無理矢理結婚相談所に登録させた。お金は払うから言う事聞けと連れて行かれ、そこのおばちゃんに「どんな人がいいの?」と聞かれたら「長男以外の公務員がいい」と母が答えてておばちゃん苦笑。「〇〇県だったらそういう人いるよ、警察官でもいい?」と聞かれたので「はい、構いません」と言ったら、母が慌てて「できれば地元の人がいいんですけど」と修正してて「何だ、お母さんが娘さんを離したくないだけじゃない。もしかして、これ全部お母さんの希望?」とすべてお察しの様子。
「だったらお母さんが婚活したら? ねぇ、だってお一人でしょう? お嬢さんの意志でここに来るならわかるけど、お母さんが出てきたらそりゃうまくいくものもうまくいかなくなるわ」と言われ、母は「うちにはうちの事情があるのに」とか「所詮他人だから無責任なことしか言えない」とか逆ギレしてたが、私は「おばちゃんよくぞ言ってくれた」と感謝していた。
我が子の代わりに親が動いて婚活すると言う話を聞くが、それでうまく行った例を聞いたことがなかった私。「いくら子の将来を思ってよかれとやるにしても、本人の意志を無視して勝手に話を進めるのはただの迷惑行為でしかないよな」と思う。善意のつもりだったとしても、そこには必ず「親の願望」があり、それを子の人生に押しつける形にどうしてもなってしまうからだ。
子は親のために生まれてきたわけではない。親が望んで我が子を産み育てた。ただそれだけで「親の人生=子の人生=幸せ」と錯覚した親ほど、子を知らず知らずのうちに闇に落としている気がする。
何より自尊心を傷つけ、「お前一人では何もできない」という無言のメッセージを送り続けている自覚がないのが厄介だ。話が通じない親を説得するのはほぼ無理だ。「親に理解してもらうにはどうしたら良いか」なんてことは、本来考えるまでもないはずなのに、真面目な人ほど問題解決に奔走し、貴重な時間をあれこれ悩みながら立ち止まって行動を起こすことなく消費し続けてしまうという悪循環が生まれる。
行動を起こす勇気と覚悟。婚活を成功に導くためのヒントはここにあり、その後の人生のヒントもここにあるのだと私は婚活を通して実感した。厳密に言えば、婚活を成功させるために実家を出て自立することから学んだのだが、いずれにしても現状維持は後退するばかりなのは確か。
夫と付き合い始めて間もなく、母から電話があり、「親戚が勤める病院の看護師で独身のいい人がいるんだけど、今付き合ってる人いる?あ、あと結婚相談所からも紹介があったんだけどどう?」と聞かれた。婚活をやめた直後に舞い込む縁談。もちろん断った。普通の会社員だと伝えると、「長男?」と真っ先に聞かれた。「一人っ子長男だけど」と言ったら「あ、そっか……」と一瞬黙った。実は、私の狙いはここにあった。
あえて、一人っ子の男性を選んだ理由。
代々有名な由緒あるお家柄でもないのに、たまたま200年以上前から続いた我が家の歴史に幕を下ろすときが来たのだと身をもって知ってもらいたかった。そして、自分が婿入り結婚して失敗した現実と向き合い、今回の縁を逃したら二度と子の縁談は来ないかもしれないという崖っぷちの状態を作って婿入りを阻止したかった。まして、未だに独身の叔母がいる我が家に婿入りさせるのも気が引ける。更に義母の押しの一手が決め手になった。
「よくお一人で二人の娘を大学まで行かせた。私はそんなあなたのお母さんを尊敬する。そんな手塩にかけた長女をいただくのは非常に心苦しいが、あえて言わせて。ぜひうちにお嫁に来て欲しい。こんな素晴らしいご縁に出会えたこと、私はとても感謝している。協力できることがあれば遠慮なく言って。できる限りのことはさせてもらうから。どうか末永くよろしくお願いいたします」と。ここまで言われて漸く母も断る理由がないと悟ったのか「それなら」とすんなり了承し、縁談がまとまった。そして面白いことに、我が家は女系家族だったのだが、自立を促してくれた叔母が嫁ぐ頃から「男の子」しか生まれていない。我が家を出ると男の子が生まれるというジンクスは、私の出産でほぼ確実だと認定されることになった。
人生はないものねだり。それでも、その中にはかけがえのない宝が眠っている。それに気づくか気づかないかだけで、世界が変わる。婚活は、自分の幸せだけ追い求めている以上成功はない。奔走するよりも、立ち止まった時に意外と原石は近くにあったりするものだ。ただの石ころだったとしても、愛おしいと思った瞬間宝になる。
そんな人と出会えたら、それ以上の幸せを求めるのはかえって贅沢というものだ。
元彼と別れて約8年後に夫と出会い結婚した私だが、実家脱出計画の一環としてやったことを紹介する。
①学習机を解体して粗大ごみに出した
→ほとんど機能を果たさず、ただただ場所をとるだけの使い勝手の悪いもので、なかなか運び出せず放置していたが、30過ぎの大人の部屋ではないなと思い処分をすることに。捨てることをいちいち母に報告する必要もないし、寧ろ捨てるところを目撃されると「もったいないから捨てるな」とか「まだ使える」と言ってコレクションしたがるのでいないときにトンカチで解体し、有休使って車に積み込み、出勤すると見せかけて母の出勤した時間を見計らってゴミステーションに運んだ。案の定、捨てたと事後報告したら、「あれは思い入れがあった大切なものだったのに」とあたかも自分のもののように言うので、「私には思い入れも何もないものだから処分した」と言った。そもそも使用頻度もほとんどゼロで邪魔くさいし、そうやって手放そうとすると未練がましく大切とか言うのって違うと思うんだが。見方によっては、私のやることのほうが酷いとかおかしいという人もいるだろう。が、私にとっては母が私に買い与えたものかもしれないけど、自分はこれ一度でも使ったことあるか? めっちゃ重いし椅子は軋むし、引き出しもかみ合わせ悪くて開けにくい。 そういえば椅子の座板部分は、き○ぎょ注意報というアニメのプリントがされた布地が貼られていて、私が油性マジックで落書きしたものがそのまま残っている。第一、30過ぎた大人が今更使うものでもないし、何よりカビていた。土に返したほうが何よりの供養ではないかと思う。使わないのにとっておくなんて、地縛霊を成仏させないのと同じようなものだ。じゃあこれ使うのか?と聞いたら、自分の子のためにとっておこうと思わないのかと言われた。
「自分の子に自分のゴミを押し付ける気ないんで。ちゃんと新しいの買い与えるよ。その後の使い道は我が子に任せる」と言ったら「贅沢」「あるもの使えばいいのに」「まだ使えるのに」とブツブツ。が、数日もすれば母は私の机のことなんてなかったかのように普段通り生活をしている。やはり今後の人生に必要ないと思ったなら、そう思った時点で捨てるべきだと思った。
学習机を処分した時の清々しさは、今でも忘れられない。こころなしか、長年の呪縛から解放された気がした。
②ファッションを変えた
→中学生から大学生になるまで、私服でスカートをはいたことがなかった私。今まで買い与えられたものをそのまま着ていたが、高校生にもなれば友達と遊びに行く服にも気を遣うようになる。が、何を着ていいのかわからない私はファッション誌にすら興味を持つことなく、無難な無地のシャツにジーンズか膝丈のパンツをはいていた。ほぼし○むらかユ○クロの安物で済ませていたが、もともとガリガリだった私は、しまむらではボトムスのジャストサイズがなかなか見つからず、表示サイズで一番小さいものに穴の多いベルトを使ったり、キッズサイズの160を着用して凌いでいた。
大学生にもなれば、もっと華やかな女子の中にこんな地味なのがいたら、かえって悪目立ちしてしまうのではと思い、併せてメイクの勉強も兼ねて大学の帰り道に駅中の書店でファッション誌を買い、まずは自分の好みを探った。フェミニンなひらひらした服が着たいと思い、とりあえずし○むらからそれっぽい服を見つけて思い切ってスカートをはいてみた。通学の電車が同じの美容専門学校に通う中学の同級生に「その服かわいい! めっちゃ似合ってる!」と言われたのがきっかけで、ひらひらした服が増えた。調子に乗った私は、ひらひらした服からフリルのついた花柄のブリブリワンピなど、今までの反動からか逆にジーンズをはかなくなり、スカートやワンピースが中心の私服になった。「似合う」と言われた服、着たいと思った服は大体系統が似通っていて、同じような服ばかり増えた。「自分にはこういう服が似合う」という感覚を掴むと、「可憐ちゃんって、自分の似合う服をよくわかってるね」と言われるようになった。20代半ばくらいまでは、花柄フリフリ、清楚なAラインのフレアスカート、クラシカルな西洋人形みたいなブラウスやメルヘンチックなワンピースなどを好んで着ていた。後半は花柄ワンピもピンクからオフホワイトかブラック、時々タイトなパンツでクールに決めてイメチェンしてみたりと、さらに幅を広げた。30代にさしかかり、今までのワンピースが似合わなくなってきた途端、急に気恥ずかしくなり一気に処分。残ったものはシンプルな膝丈スカートとワンピース。花柄ブームは婚活手前で去った。同じ花柄でも、刺繍のものは使い勝手がよく今でも重宝している。
シンプルイズベスト。し○むらとユ○クロは、普段使いにはとても良い。服選びに困ったときのお助けショップとして今も活用している。ちなみにメイクは27歳のときに某国内化粧品メーカー(コ○メデ○ルテ)で美容部員の研修で叩き込まれた技術が生きている。女社会の気迫に耐えられずにすぐ辞めてしまったが、今となってはこの経験のお陰でスキンケアとメイク技法で“美白”“美肌”を演出できている。
③お部屋探しアプリを駆使して一人暮らしのイメージを膨らませた
→同じ市内は絶対に嫌だと思っていたので、田舎から県庁所在地の市街に出ることにした。その方が職場も近くなるし、この先転職することになってもエリアの選択肢が増えるからだ。荷物が多くなりがちなので収納スペースか、部屋数がほしいと思い1LDKで家賃月額4万円以内で探した。いろんな部屋の間取りを見ているだけでもワクワクしたし、誰にも文句を言われないプライベートな空間を一刻も早く手に入れたくなり、一人暮らしの本などを読み漁った。
条件を明確にし、ToDoリストを作ってできることを順番に潰して行動化。意外とフットワークが軽い自分に驚いた。
④オリジナルのノートを作成し理想の生活費や部屋の配置などのシミュレーションをした
→本やネットの情報を参考に、一人暮らしのための情報をまとめたオリジナルのノートを作成した。間取りを見て家具の配置などをシミュレーション。必要に応じて買い揃えるもののリストも作り、全体でいくらかかるかも算出。なかなか大変だったが楽しい時間だった。
⑤母が仕事に行っている間、有休を使って不動産屋巡り
→いくつか候補の部屋の見積もりをもらったり、内覧に行ったりして更にリアリティを深めた。見るだけならタダだし、気になる部屋の候補を持って比較検討した。
⑥初期費用を貯めて部屋を契約した
→初期費用が分かればいつまでにいくら貯めて契約するという目標も立てやすかった。いつまでに決めれば〇〇円割引とか、特典内容も加味しながら無理のない範囲で月額の費用を見積もり、できそうだなと思うところで契約。鍵をもらったときの喜びは今でも覚えている。ちなみに保証人になってくれると言った叔母の厚意はありがたかったが、どこから漏れるかわからんので保証人不要の物件を選んだ。
⑦契約後、3ヶ月間は口外せず実家で生活
→まだ部屋にはなにもない状態だったので、まずは大型家電を新調。設置までしてもらえばもうこっちのもの。あとは時間を作って自宅から少しずつ運び出せば引越代も浮くし、何より気づかれずに作業ができる。自分名義の車を持っていて良かった。
⑧実家で暮らしている間に住民票の異動と車の住所変更を済ませた
→これが一番ヒヤヒヤした。特に転出のタイミング。とりあえずある程度ものが揃って寝泊まりできる状態にしてから変更するようにした。
⑨大型家電・家具を買い揃え、実家から荷物を少しずつ運び出した
→有休を有効活用して自分の部屋を作るのは快感だった。実家で何かあっても逃げ場があれば安心して避難できる。カフェで時間つぶしていても飲食代がかかるし、それならいっそ一部屋借りたほうがいいと思えるようになっただけでも進歩だ。
次に、婚活するうえで「あ、それあるある!」といったやりがちな失敗談を紹介する。
★婚活パーティーでやらかした★
①1人1分間の回転寿司形式の婚活パーティーで、番号札と名前を間違えて記入してしまい、希望の人とマッチングしなかった。
→プロフィールカードの情報をもとにメモするカードも配布されるが、正直メモする時間などほぼない。慌てて記入しても、番号札とずらして書いてしまったり、名前しかメモれず印象忘れたり、逆に嫌だと思った相手の印象が強すぎて、いいなと思った人の名前や印象と番号が一致せず最終チェックでかなり困ったことも。思い出そうとしても曖昧な記憶ではどうにもならず、第3希望欄に適当な人の番号を書いたらマッチングしてしまったこともあった。記入するにしても欄が狭すぎて書きにくいし、せめて印象の選択肢があれば書く時間も短縮できるのになと思った。
②iPadでプロフィールや中間印象をリアルタイムで見ることができるパーティーでは、好意を持ってくれた人の番号が複数表示された場合、全員がマッチングしたい人ではなかったときが気まずい
→個室タイプで男性が移動して7〜8分くらいじっくり話せたり、待機の時間に参加男性のプロフィールが事前に確認できるのはありがたかった。中間印象が良いと、ボタンを押せば相手に好意を伝えることができるが、誰が誰にアピールしたかはわからないようになっているとはいえ、妙なプレッシャーと罪悪感がある。
好意を示したのにマッチングしなかったのは、何とも思われてなかったんだなと相手を残念な気持ちにさせてしまっているような気がして、後味はあまり良くない。しかも、この人無理だと早い段階でわかった時の7〜8分は長すぎて苦痛。
③参加男性に、参加した女性の情報を聞いてしまう
→男性とは話す機会があるが、女性参加者と話すことはほとんどないので逆に気になってしまい、マッチングした人にどんな人がいたか聞いてしまったことがあった。当時はクリスマスだったので女性は限定メニューのチョコデニッシュパンのお土産がついていたのだが、「30代限定のはずなのに53歳のバツイチで子ども3人いるオバサンがいた。絶対特典狙いだよ」と聞いたときは鳥肌が立った。
④参加女性とマッチング
→男性よりも話が弾んでしまい、男性そっちのけで連絡先交換して後日ランチをするというわけのわからないことをしたことがあった。隣の席にいたものすごくきれいなお姉さん(当時40歳と聞いてびっくりした)がかなり気さくな人で、気が合ってしまい後日二人でランチをすることに。そしたら開口一番「実は東京に転勤になっちゃった。せっかく仲良くなれたのに会えなくなっちゃう」と言われ切ない気持ちに。初めて一人暮らしするのが不安と言っていたが「東京に素敵な出会いがあるかもしれない」と言ったら、「そうだね、きっとこれがきっかけで良い出会いがあるかもしれないから頑張ってみる」と笑い、1ヶ月後東京に旅立っていった。結局その後は一度も会わなかったが、彼女ならきっといいご縁に恵まれると思う。
⑤参加女性からの嫌味
→これは私の友人の体験談になる。友人は私とほぼ同時期に婚活をしていた。あるパーティーに参加した友人から「今日時間ある?ちょっと話聞いてほしいんだけど」と連絡があり、地元のショッピングモールの喫茶店で待ち合わせて話を聞いた。
「今回30代〜40代限定のパーティーだったんだけど、隣りに座ってた女に声かけられてさ。『あんた何歳?』って聞かれて『32ですけど』って言ったら、『はあ?何でそんな若い子が来るの?あたし36だけど、若い子が来ちゃったらこっちが不利になるじゃん。空気読んでもっと若い子が集まるとこ行ってよね』って言われて、めっちゃムカついた! それ年齢関係なくね? 別に参加資格満たしてないわけじゃないのに」
若さに嫉妬したところで若返るわけでもないのに、寧ろその年齢で勝負できないなんてなんて哀れな女なのか。しかも空気読んでよそ行けって、初対面の人に言う台詞ではない。2年後、その友人はマッチングアプリで出会った人と付き合い、数ヶ月後に関東に嫁いでいった。婚活で難ありなのは男性側だけではないということを改めて実感した。貴重な情報提供をしてくれた友人には感謝している。
アプリを始めて衝撃だったこと。それは、
「男も写真加工する」という事実。
もう今ではs○owなんて古いだろうが、当時は全盛期?(私は存在すら知らず、友人に聞いて初めて知った)で、若い女子が使うならまだしも、婚活のプロフ写真に使ってるオッサンがいてマジで吐きそうになった。今回はプロフ写真についてやばい例を紹介する。
①加工アプリ
→デカ目、輪郭補正、美白効果で最早エイリアン。しかも、犬猫ウサギなんぞに変身した44歳なんて可愛くもなければ知性もないのに、堂々と1枚目を飾れる神経はある意味強靭だと思った。
オッサンが加工したところで若返るわけがない。血迷ったキモいオッサンの成れの果てが加工した自分なんて、見ている方が恥ずかしい。そんな顔で「20代女性希望」とか言われても、犬猫ウサギですら警戒して逃げるだろう。写真館でスーツに笑顔で気合バッチリなおじさんのほうがまだ好感が持てる。プロフ写真をケチる男との差は歴然だ。写真に命かけすぎて実物とのギャップが激しいのも考えものだが、素人のバカ丸出し写真よりお金払ってプロに任せるか、プライベートで友達や家族に撮ってもらうくらいの堅実さをアピールしたほうが賢明だ。何ならいっそのこと、婚活よりも終活に専念して遺影用の写真の準備や生前整理でもしたらいいとさえ思った。若い子の尻追っかけてる間にも歳は食うし、残された家族がいようがいまいが、死んだら少なからず後始末などで人の世話にならなければならない。加工した写真が遺影になるかもしれないという危機感を持って、写真は平凡でも常識的なものを使用すべきだと思った。
②運転免許証
→青い背景に無表情のthe証明写真。指名手配犯にしか見えず、しかもこの写真一枚だけって人もいた。一番スルーされるやつ。
案の定、いいね!が一つもなかった。幽霊会員だとしても、別の意味でも幽霊感が漂う気の毒な会員。同情はされるだろうが、マッチングすることは永遠にないだろうと思った。
③自撮り
→スマホ持って鏡に写った自分の写真をあげてる人が結構いたのだが、恥ずかしくないのだろうか。撮影場所が風呂場か洗面所で、生活感丸出し。酷いときは洗濯物まで映っている。せっかく一張羅着てキメ顔で撮ったとしても、パンツや靴下がぶら下がったのをあげられてたら反応に困る。運転免許証野郎と大差ない。
④元カノとのプリクラ
→ありえない。が、実際にいてびっくりした。元カノだけ編集で消せばいいと思ってるのか、盛りに盛ってイケてる自分の写真をどうしても使いたかったのか。彼女いたことあるアピールなのか。ただ痛いだけなのに、自覚がないって恐ろしい。「〇〇なかわいい彼女がほしいです」などそもそも30代の男が書くことなのか。節操なしのアンポンタンが婚活市場に出回っている現実は、本気で婚活に励む会員の神経を逆撫でする背徳行為でしかない。場違いはよそ行けよと本気で思った。
いくつかのアプリを利用していると、だんだん見えてくることがある。中でも一番目立つのは、複数のアプリに登録しているパターンだ。「どこかで見たことあるな」という感覚は大抵ビンゴ。数撃ちゃ当たる戦法な人に多い。複数登録している人の中でも特に多い事例を以下に記す。
①プロフの使い回し
→全く同じ内容、写真で更新もされず放置している人、できるだけ多くの人に会いたい人、捨て垢(というかセカンド以降)、遊び目的で軽いノリで登録したであろう人など様々。同じ内容をそのまま使っても、面白みがなければ何箇所登録しても結果は同じ。それに、「気が多い」「スキあらばよそ見する」だろうという印象も与えかねない。どうせ複数やるなら、ベース(基本情報)は変えずに写真や文面を少し変えて「〇〇にも登録があります。こちらでは伝えきれないので、自己紹介を分けさせていただいています。興味のある方は是非そちらも見ていただけると嬉しいです」とかあえて他にも登録していることを言ってしまうのもありだと個人的には思う。プロフ写真の枚数は限りがあるし、数枚程度では伝えきれないとか、文章苦手って人にはそういうやり方も方法の一つだ。まあ、そんなことができればそもそも婚活自体が不要なのかもしれないが。偽るのではなく、使い分けることは自己理解にも繋がる。自己紹介文が書けない人のほとんどが、自分をわかっていない。高望みばかりする身の程知らずが、不良在庫として何年も婚活市場に蔓延り続けている。
②テンプレと自己紹介文の内容が矛盾している
→テンプレには32歳と書いてあるのに、自己紹介文の年齢は40歳と書いてあったり、結婚は今すぐしたいと書いてあるのに「刺激的な恋愛がしたい」「彼女がほしい」になっているなど、一貫性がなかったりする場合。
私もアプリで実際に見つけて驚いた。テンプレは「釣り」で、蓋をあけるとアラフォーのオッサンなんてことはザラ。おそらく複数登録して、自己紹介をコピペしながら使い回しているのだろうが、基本情報の矛盾というマヌケぶりには思わず噴いた。どうせやるなら徹底しろといいたいとこだが、そもそもいずれバレることを堂々と誤魔化そうとすること自体おかしい。取り繕うよりも誠意を見せる事の方が遥かに重要なのに、何を勘違いしたのかよく見せようとして墓穴を掘るマヌケな会員があまりにも多すぎる。