「今日は私にとって何の日か分かる?」
桜の下にシートを敷いた。
その上に座って、結太は真上に見える桜を見ている。
「何だろう?」
私は泣かないよう、大きく深呼吸する。
「今日は、私の卒業式。
結太から卒業して、お互い違う道へ進み出す大切な日…」
結太の困った顔は、子供の時から何も変わらない。
特に、私を見る瞳は、優しさと切なさが宿っている。
「結太、何も言わなくていいから…
今日は、私のしたいようにさせて、お願い」
結太はニコッと笑った。
いつもの穏やかな結太に私はまた涙がこみ上がる。
「結太、私、結太の事を本当に愛してた。
好きで好きで、好き過ぎて毎日が苦しかった。
いとこ同士じゃなかったらって何万回も思ったけど、でも、それは叶わない悲しい夢だった。
好きな気持ちには嘘をつきたくない。
そう思ってずっと、過ごしてきたけど……
でも、それも、今日で最後にする。
……私は、大好きな従兄の結太から卒業します」