でも、結太…
いとこ同士でも結婚できるんだよ…
そうやって、何度も言いかけて何度も飲み込んだ。



「でも、私は…
いとこ同士でもいいから、結太に出会えて良かったよ。
だから、そんな事言わないで…」


ボンネットに打ちつける雨は、泣けない私達のために泣いている。

何だかこんな風に二人で時間を過ごす事が今日で最後になりそうで、結太の温もりが私から消えてなくなりそうで、私は雨の音に耳をふさぎたくなった。

私達の日常は、悲しい嘘の世界。
好きを好きと言えない、愛してるを愛してると言えない偽物の世界。


そして、結太は何も言わない。
何も言わない結太の横顔はすごく疲れて見えた。



「もうそろそろ終わりにしよう…
私達の心が、まだ頑張れるうちに…」


私はそう言えない結太の代わりに、別れを切り出した。