高校生になった私に、毎日毎日、厳しいだけの現実が襲いかかる。

こんなにも大好きな人が従兄という現実。

でも、だからといって、好きになる事は止められない。
好きになる事が止められないという事は、苦しくて苦しくて死にそうな事。

だって、誰にも言えない…
本気で愛する人が、近所に住むいとこのお兄ちゃんだなんて。


だから、夢を見る事をやめようと思った。
それが十年前の話。

私は十六歳、結太が十八歳の冬だった。


そんな時、私は結太の涙を見てしまった。
兄弟の中で一番頭が良くて、国立大学の受験を控えていた結太。

以前から体調を崩していた伯父さんが、長期療養で入院を余儀なくされた。


結太は大学受験をあきらめた。
お父さんのため、家族のため、蕎麦屋に専念する事に決めた。

それは悲しい決意。
結太は私の胸の中で泣いた。

そして、私はその時に決意する。
私が結太を幸せにすると…