僕は、何も無かった。

 自分の愛などなくて、僕は多分、壊れてた。
 まるで、シンデレラのような人生だ。
 灰被りのような、希望なんて持てない人生。
 なんとも死のうとした。
 僕を壊した親にさえ手をかけようとした。
 でも出来なかった。
 どんなに腐りきっても、どんなに汚れていようと、自分の親だから。
 どんなに恨んでいても、自分の血が唯一流れている存在だったから。
 僕は、多分生きる事が怖かったんだと思う、どんなに生きても報われるような事がなくて、解けた感情が結び直されるようなことなんて1度もなかった。
 僕も、まともに生きたかった。
 普通に息を吸いたかった。
 でも、他の人たちから見たら僕は恵まれていて、その人達は知りもしないどこか遠い国の出来事を引き合いに出して比較して、かりそめの物差しで僕の全てを、薫陶、沽券を測りたがる。
 身勝手な正義を振りかざして、それで人を救った気になっている人達が、死ぬほど嫌いだった。
 死にたい。
 生きるって何なのだろう。
 漠然と、永遠にそれを考えていた。
 だけど、
 だけどね。

 君と出会えて、生きたいって思える様になったんだ。


 これは、僕の物語。


 全てを持っていて、全てが欠けていた僕の物語。

 ずっと死にたくて、死にたい理由を探し続けてのうのうと人生を貪ってきた。何かすべき使命や、何のために産まれたのか、理由すらも分からない社会不適合者が、恋をする物語。

 ただちっぽけで、どこにでもありそうで。

 どこにもないような、ただそれだけの、恋の物語。