だから和葉も、あやかしと名乗られたのは玻玖が初めてだった。


妖狐は、あやかしの中でも神に近いとされる上級のあやかしで、その内に秘めたる妖術は膨大。

玻玖にとってはあふれ出す妖術の力を押さえなければ、人間界ではまともに暮らすことは難しいため、狐の面をつけていたのだった。


妖術とは、あやかしだけが使うことのできる力。

妖術はのちに呪術を生み出し、人間でも扱える力となった。


つまり、呪術のルーツは妖術。

呪術が妖術に勝ることはない。


いくら貴一が『眠毒ノ術』で玻玖を殺そうとしても、毒耐性があるわけでもないが、妖術の力が強すぎるあまり玻玖には効かなかったというだけのこと。


『空渡ノ術』も、人間が使えばあまりにも負荷が強すぎて、しばらくの間は寝込んでしまうような代償。

しかし、妖狐の玻玖にとっては少し体がだるいくらいで済んでしまうのだ。