玻玖にも、おいしいものを食べてもらいたい。


そこで、七輪の炭火でじっくり焼こうと思っていた和葉。

しかし、なぜか菊代は渋っていた。


「あの…わたし、なにかおかしなことでも…」

「…い、いえ!そういうわけではございませんが…。七輪となると、外で火を…」


狐の面で菊代の表情は読み取れないが、困っているということはわかる。


「…そうですねぇ。玻玖様が戻ってこられるのもまだ先ですし…」


つぶやく菊代。


「わかりました!それでは、和葉様にお任せしてもよろしいでしょうか」

「はい!任せてください」

「それでは、すぐに七輪の準備をいたしますね」


渋っていた菊代だったが、なにを思ったのかすぐに外に七輪と炭を用意した。


うちわで扇ぎながら、ゆっくりじっくりさんまを焼く和葉。