僕とミツハとモモは、幼馴染。小学校で一緒になって、そのまま中学校に進学し、気がつけば高校まで同じだった。

 出逢いは単純で、ミツハとモモは同じ幼稚園で家が同じマンションだし、僕とミツハは幼稚園の時から同じピアノ教室に通っていた。

 僕らを結び合わせたのはミツハだった。モモは父親の影響で小さなころからベースを習っていて、僕は母親の影響で歌うことが好きだったのだけれど、それを知っているミツハが僕らをつないでくれた。ミツハは音楽と名のつく物は何でもだいすきで、きっと、だからこそ僕らを出逢わせたんだ。

 僕らは放課後の音楽室やそれぞれの家で、よく集まって遊んでいた。音楽がすきな3人が集まっているのだ、歌ったり楽器を触ったり、集まれば自然と音楽が始まった。僕らはテレビアニメのオープニング曲を演奏したり、インターネットを駆使して楽譜などを手に入れて、たくさんの曲を演奏して笑い合っていた。

 僕もモモも、それで満足だったのだけれど、ミツハの野望はそこで止まることはなかった。



「今日は私の一世一代の計画を遂行するべく君たちを招集しました!」



 中学に上がってすぐの頃、真新しい中学校のセーラー服に身を包み、腰に手を当てて、どやぁ、と得意げな顔で僕らにそう言ったミツハ。



「何、計画って」



 モモはいつも通りクールにミツハに尋ねる。それにしてもミツハ可愛いな。



「3人でバンド組みます!」

「え」

「は?」

「モモはベースでしょ、私はドラム叩くから、ナシはギターボーカル!」



 可愛すぎる。モモはミツハに「まじかよ本気?」と文句を言っていたけれど、僕の思考は“ミツハってこんな可愛かったっけ”ということ、ただそれだけ支配されていて、嫌だなんて口が裂けても言えなかった。


 そこからは毎日モモの家に籠って練習、練習、練習。



「ちげぇって言ってんだろこのおたんこなす!」

「ひぃ! 暴力反対!」



 僕は、どちらかというとインドアでゲームが好きで、漫画やアニメに浸り交友関係は深く狭くタイプ。モモは僕とは正反対で、明るくて負けん気が強くて、口が悪い癖に変なところ友達思いだから、いつもクラスの中心だった。



「はーい、喧嘩しないで! じゃあ今日はここまで合わせるよ!」



 まとまりがなくて仲の悪い僕らをミツハがいつだってまとめてくれた。ミツハがいなかったら、幼馴染にすらなっていないと思う。

 そう考えると、ドラムのミツハ、ベースのモモ、ギターボーカルの僕っていうのは、性格がいい感じにハマっていたのかもしれない。