冷たい空気がしっかりと着込んだ冬物のコートの隙間から、忍び込んできた。
あまりの寒さに思わず、身震いをする。
はたと目に入った女性と目が合って、しばらくの間、見つめ合った。
なんだか見覚えのある女性だった。
彼女で間違いないと、あのころの面影と重ね、錆びた古い小さなベンチを立った。
すう、と息を吸い込んで、声をかけた。
「久しぶり――」